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【貿易】タイの昨年11月累計輸出は12.6%増も、製造業の稼働率は55.49%と低迷続く

  • 2025年1月から11月の輸出額は前年同期比で12.6%増と堅調に推移したが、11月の工場稼働率は55.49%という低水準に留まる。
  • 輸出の中身が国内で付加価値を生まない通過型取引に偏っており、輸出の拡大が国内生産の伸びに直結しない産業構造が浮き彫りとなった。
  • 中国等からの安価製品の輸入品流入が国内生産を圧迫しているほか、賃金上昇や技術革新の遅れにより周辺国に対する製造業の競争力が低下している。

タイでは輸出が拡大する一方で製造業の稼働が伸び悩むという異例の事態が続いている。2025年1月から11月の輸出額は前年同期比12.6%増と堅調な数字を記録。しかし、その一方で鉱工業生産指数(MPI)は年内のうち6カ月で前年割れを記録し、11月の工場稼働率は55.49%と極めて低い水準に留まった。

この背景には複数の構造的な要因がある。第一に、現在の輸出増加が国内で付加価値を生まない「通過型」取引に偏っていることだ。輸出額が増えても国内の生産現場が潤わない構造が、改めて浮き彫りとなった。第二に、中国などからの安価な輸入品の流入が国内生産を強く圧迫していること。輸出と並行して輸入も高水準で推移しており、これが地場工場の稼働率を押し下げる要因となっている。

さらに、長年維持してきた既存の産業モデルが限界を迎えている点も無視できない。タイ国内の賃金上昇に技術革新が追いついておらず、周辺諸国との価格・技術競争力が低下。特に主要産業である自動車分野では、国内需要の低迷と輸出環境の変化に伴う生産調整が続く。政府は次世代産業への転換を急ぐ方針だが、実質的な効果が表れるまでには相応の時間を要する見通しだ。タイでは輸出依存の成長モデルから脱却し、国内で高い価値を創出できる産業構造への再構築が急務となっている。

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