【経済】タイの香りココナツ産業 供給過剰と品質問題で構造改革が急務に
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タイの主要農産品である香りココナツ産業が、供給過剰と品質問題の二重の課題に直面している。政府は違法事業の摘発と同時に、生産構造の見直しを進め、価格安定と農家所得の回復を目指す方針だ。
商務省事業開発局(DBD)の分析によると、香りココナツの供給構造は大きく二つに分かれる。輸出基準を満たす果実は1個あたり4〜5バーツで取引されるが、輸出規格に満たない小型果実は約2バーツと価格差が大きい。
現在、輸出基準を満たす果実は全体の約30%にとどまり、残り約70%は加工用として扱われる。加工用のココナツはココナツ水飲料や菓子原料として利用されるが、価格が低いため農家収入の不安定要因となっている。
供給増加も価格下落の背景にある。栽培面積は2021年の23万5903ライから2025年には30万5706ライに拡大し、生産量も53万2942トンから87万7681トンへ増加した。約50%の増産が市場の需給バランスを崩すことにもなった。
また、輸出環境も厳しい。タイの輸出額は2023年の98億8000万バーツから2025年には64億5000万バーツへ縮小。最大市場の中国でのシェアも75%から約48%へ低下している。
この背景には外国企業の参入や価格競争の激化もある。外国資本が農園賃借や加工施設投資、輸出事業まで関与するケースが増え、購買価格や販売価格を左右する影響力を持つ例も指摘されている。
さらに一部では、砂糖や他品種の果汁を混ぜた製品が香りココナツ水として販売される事例も確認され、ブランド価値の低下を招いている。
政府は生産面積の管理制度導入、農園管理支援、品質向上の資金支援を検討する。輸出市場の維持と新市場開拓を進めるとともに、国内販売チャネルの拡大によって需要を底上げする考えだ。
