【投資】タイ、対米投資対話を加速 相互関税常態下で供給網再編と投資誘致競争に備える
タイ政府は4月15日、米商工会議所との協議を通じ、米国企業に対してタイが安定した投資先であると改めて訴えた。相互関税が今後2〜3年は世界経済の「新常態」になるとの見方を米側が示すなか、供給網の再編が進む局面で、投資の呼び込みを維持する狙いがある。協議は14日、ワシントンで開かれている世界銀行・IMF春季会合に合わせて行われ、エクニット副首相兼財務相が出席。ここで財務相は、先端技術の導入と産業人材の高度化をタイ経済政策の柱に据える方針を説明し、米側もタイを戦略拠点として重視する姿勢を示した。
タイは米中対立や中東情勢の長期化で通商環境が不安定になるなか、投資委員会(BOI)を通じた認可の迅速化や、クリーンな電力の供給整備を急いでいる。今年1月に公表された財務省とタイ中央銀行の見通しでは、今年の実質GDP成長率はともに1.5%と低い。このため、成長率の底上げには民間投資の拡大が欠かせない。
エクニット財務相は年初、EV、データセンター、スマート農業、医療・ウェルネスを重点分野に挙げ、技能再教育と外国人高度人材の活用を進める考えも示していた。ここで課題となっているのが、BOI認可待ち案件が約4800億バーツほどあること。このためタイ政府は法規制の障害を取り除くことで、投資案件の立ち上がりを早めたい考えだ。
また、米企業側がタイを戦略的立地と評価したことは、電子部品や自動車、デジタル関連で供給網を持つ日系企業にとっても追い風となる。ただ、相互関税の長期化が現実味を増すなか、輸出先の分散、電力調達、調達先の多元化まで含めた再設計が必要だ。とくに米向け比率が高い製造業では、タイ拠点を単なる生産基地ではなく、研究開発、人材育成、域内販売を組み合わせた複合拠点へ進化させられるかが問われる局面に入った。投資判断の前提条件は確実に変わりつつある。
