【経済】タイ政府系シンクタンクが中東戦争の3シナリオ提示 スタグフレーションの可能性も
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政府系シンクタンクであるタイ国家経済社会開発評議会(NESDC)は、中東紛争の長期化に伴いタイ経済の先行きを左右する3つのシナリオを提起した。NESEDCはすでに2026年のGDP成長率見通しを1.4%に下方修正しており、タイ中央銀行(BOT)の1.5%予測と概ね合致。インフレ率は2.5〜3.5%に上昇する見通しだ。
最も楽観的なシナリオ(第1シナリオ)では、2026年前半に紛争が終結して海運・エネルギーインフラが回復し、原油価格(ドバイ産)が年間平均90ドル前後に落ち着く想定だ。この場合、GDPは1.4%成長、インフレは2.9%となる。
一方、第2シナリオは紛争が後半まで長引いて世界規模のスタグフレーション(物価上昇と景気低迷の同時発生)を引き起こすケースで、原油は110ドル水準に高止まりし、GDP成長率は0.8%、インフレは4.6%まで上昇する。
目次
最悪のシナリオが示すリスク 世界経済後退の危機
第3シナリオは紛争が2026年を通じて継続し、解決は2027年前半にずれ込む最悪の想定だ。この場合、原油は115ドル前後で高止まり、世界経済は景気後退リスクにさらされる。タイのGDP成長率は0.7%にとどまり、インフレは4.9%に達する。財務省事務次官も「スタグフレーションのリスクは現実的だ」と述べており、危機感は政府全体で共有されている。
タイ経済の構造的脆弱性として、米国の輸入関税、家計・企業の高水準債務、農業セクターのエルニーニョリスクなども列挙された。NESEDCはデジタル分野への投資や食品輸出の加速など内需・輸出両面からの対策を促すが、包括的な支援策は新政権の大きな課題となっている。
