国王陛下が声明 「王室メンバーが政治にかかわるのは著しく不適切」
タクシン派のタイラクサーチャート(タイ国家維持)党が2月8日、ウボンラット王女殿下を同党の首相候補として中央選挙管理委員会に届け出たことを受け、同日夜、「ウボンラット王女は王族籍を離れたものの、いまだに王族のメンバーであり、政治にかかわることは著しく不適切」とするワチラロンコン国王陛下の声明が官報を通じて発表された。
声明によれば、王女は法的には王族籍を失っており平民であるが、今でも王族の一員として活動をしており、プミポン前国王の長女であることに変わりはない。このため、どのような形であれ王女が政界に入ることは、王室の伝統とタイの文化に反しており、極めて不適切とのことだ。
この国王陛下の声明を受け、タイラクサーチャート党は翌9日、陛下のご意向を全面的に受け入れると表明。王女殿下を首相候補として擁立することを断念することを発表した。
国王陛下の姉であるウボンラット王女殿下は米国留学中に知り合った米国人男性と1972年に結婚されたことで王族籍を失ったが、1998年に離婚してタイに帰国。以後王族の一員として活動されている。
タイラクサーチャート党は、総選挙でタクシン派の得票を増やすため、そして、タクシン派のタイ貢献党がタクシン元首相の党運営への関与で解党処分となったことを想定してタクシン派によって設立された予備政党とされている。