上院議員グループのセーター首相提訴はタクシン元首相の影響力行使拡大への警告か
先ごろ上院議員40人のグループが、セーター首相が先の内閣改造で過去に法廷侮辱罪で有罪になった人物を首相府相に任命したのは憲法の政治倫理規定に違反すると訴え、憲法裁判所が審理を開始することになったが、上院議員グループのこの動きについて、複数の学識経験者が「タクシン元首相の影響力行使に対する警告」との見方をとっている。
タクシン元首相は昨年8月末に15年ぶりに帰国し、首相在任中の違法行為に関して最高裁判所から8年の禁錮刑を受けたが、間もなく恩赦で禁錮1年に減刑された。今年1月には仮釈放とになり現在、ほぼ自由の身となっているが、元首相は現政権の容認のもとに影響力の行使を拡大しつつあるとの見方が支配的だ。
プラチャーティポック王立学院民主改革室のスティトーン室長によれば、過去に有罪判決を受けた者を首相が閣僚に任命したことが違法となれば、国政や中核与党・タイ貢献党にタクシン元首相が影響力を行使するのを黙認することも違法とされる可能性があり、これが軍政を支えた上院議員グループの狙いと考えられるとのことだ。