国防省管理法改正案改革が協議すらなく撤回される 軍部の影響力の強さ露呈される
軍事クーデター予防が目的とされる国防省管理法改正案に与党を含め複数の政党が反対を表明していることを受け、ペートンタン首相は12月11日、「政府は軍事に介入するつもりはない」と明言した。さらに首相は、「法案については賛否両論あるが、すべての意見に耳を傾けてほしい。現代の政府は軍事に介入しようとは思っていない。だが、国のためになることは各方面の協力を得てやらなければならない」と述べ、軍事クーデターの可能性を引き下げる法改正に理解を求めた。
タイではこの90年ほどの間に20回近くの軍事クーデターが起きており、タクシン派政権も何度か倒されている。また、反タクシン勢力の背後に軍部の存在があったことも知られており、ペートンタン首相などタクシン一族が軍部に好意を抱いていないのは周知の事実だ。
直近の軍事クーデターは2014年5月にタクシン派政権が倒されたもの。当時はタクシン氏率いるタクシン派政権が駆逐された06年の軍事クーデターから8年も経っており、「軍部は経済的損失の大きさも分かっているのでもうクーデターなど起こさない」というムードの中で起きた驚きの軍部の反乱だった。このため、とりわけタクシン派は軍部の恐ろしさが身にしみており、軍部への警戒を緩められないとの見方が支配的だ。