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11⽉の総合インフレ率 過去33カ月で最低値に エネルギー価格が安定

タイ商務省貿易政策・戦略事務局(TPSO)のプンポン局長は12 月7 日、今年11 月のヘッドライン・インフレ率(変動幅の大きい生鮮食品価格とエネルギー価格も考慮した総合インフレ率)を前年比0.44%減と発表。過去33 カ月での最低値となった。

ヘッドライン・インフレ率は前月(23年10 月)、25 カ月ぶりに前年比で減少したが、これで2 カ月連続してのマイナスとなる。この背景にあるのは、タイ政府のエネルギー価格安定化政策が奏功したこと。特に軽油(ディーゼル)、ガソホール91 の価格が安定した。このほか、豚肉、鶏肉、植物油が前年の価格を下回り、その他の品目についても値下がりを始めている。なお、生鮮食品価格とエネルギー価格の影響を排除したコアインフレ率は同0.58%増となった。

今年のヘッドライン・インフレ率であるが、1月が前年比5.02%増、以下、2 月同3.79%増、3月同2.83%増、4 月同2.67%増、5 月同0.53%増、6 月同0.23%増、7 月同0.38%増、8 月同0.88%増、9 月同0.30%増、10 月同0.31%減と推移。今年10 月時点でタイのヘッドライン・インフレ率は世界135 国・地域中、下から8 番目の低い数値となっている。また、ASEAN では7 カ国(タイ・ラオス・フィリピン・シンガポール・インドネシア・マレーシア・ベトナム)が経済統計を公表しているが、タイは8 カ月連続して最低値を記録した。

11 月のタイ国内の物価上昇率であるが、飲食以外の主要品目物価は前年比0.87%減となった。2 カ月連続して電気・軽油・ガソホール91 といったエネルギー価格が低下。これにより公共輸送機関の料金も抑え込まれた。このほか、洗剤、柔軟剤、携帯電話、洗濯機、エアコンの価格も低下。これに対し、価格が前年同期より高いのは、ガソホール95、E85、E20、ベンジン95、液化石油ガス(LPG)、航空券、学校の送迎車、パウダー、歯磨き粉、ペットの餌、アルコール飲料となっている。

アルコール飲料を除く飲食品は前年比0.2%増となった。価格が落ちていない主要品目は、精米、小麦粉および関連食品、鶏卵、乳製品、豆乳。生鮮野菜(パッカナ、ショウガ、ライム、トマトなど)は水害により市場への供給量が不十分であるため、価格が高止まりしている。また、生鮮果実(ドリアン、スイカ、ミカン)とインスタンコーヒー、調理済食品は幾分価格が上昇した。一方、3 カ月連続して価格下落が目立つのは、在庫を抱えている豚肉と鶏肉。このほか、植物油、調味料、一部の生鮮野菜・果実(玉ねぎ、キュウリ、豆、ロンゴン、チョンプー、マンゴなど)は値下がりが始まっている。

ヘッドライン・インフレ率の指標となる11 月の消費者物価指数(CPI)は107.45(基準年は2019 年)。前月比で0.25%減となった。

今年1 月から11 月までの平均ヘッドライン・インフレ率は前年比1.41%増。タイ中央銀行および同銀行金融政策委員会が目標値として掲げている1.0 ~ 3.0%の範囲内に収まった。なお、タイ商務省は通年のインフレ率目標レンジを1.0 ~1.7%に設定している。

12 月のインフレ率であるが、タイ商務省はさらに減少すると予測する。食品(精肉、調味油)・エネルギー(電気、燃油)、生活必需品などの価格が低下傾向にあるほか、比較対象となる前年のCPI が高水準であるためだ。

来年のインフレ率であるが、継続するであろう政府の物価高抑制政策が奏功する一方で、家計債務により消費マインドの回復が遅れる可能性があるとして、商務省では来年のヘッドラインインフレ率をマイナス0.3%~ 1.7%の幅で設定している。

⽣産者物価指数(PPI)

生産者の卸売価格を指数化した生産者物価指数(PPI)であるが、11 月は前年比2.1%減の111.3(基準年は2015 年)となった。前月(23 年10 月)比も1.1%減となっている。PPI は企業業績・株価の先行指標ともなり、上昇が続いた場合、物価高騰を嫌った買い控えによる経済回復の遅れなどが危惧される。

11 月の部門別PPI であるが、工業製品部門は石油精製製品、PC・電子製品、ゴム・プラスチック製品、化学製品、鉄製品、繊維製品、紙製品の価格低下により前年比0.9%減となった。

鉱業部門は原油・天然ガス・金属鉱石など資源価格が下がったことで同27.6%減少した。また、農業漁業部門は籾米、アプラヤシ、天然ゴム、キャッサバ、果実、鶏卵、海鮮品などの値上がりから同1.2%増となっている。

製造業⽣産指数(MPI)

工業省工業経済事務局(OIE)が11 月30 日に発表した今年10 月の製造業生産指数(MPI)は89.38 で前年比4.29%減となった。前月(23 年9 月)比でも2.15%減少している。

MPI は2016 年を基準年(=100)として製造業の生産活動を指数化したものであり、景気動向を判断する指標となっている。昨年通年は平均98.32、成長率0.62%だったが、OIEでは今年の通年予測を前年比4.0%~ 4.5%減としている。

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