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1日当たりの法定最低賃金 バンコクと一部業種で400バーツに

タイ政府は7月1日の閣議で、労働賃金三者委員会による最低賃金改定案を承認した。賃上げは同日付で施行されており、詳細は以下の通り。

【改定の概要】

  • バンコク都内の最低賃金を1日400バーツに引き上げ。
  • 全国のホテル業における最低賃金を1日400バーツに引き上げ。
    ※対象は以下のホテルに限定される:
    ・客室数が50室以上、またはレストランを併設する2つ星ホテル
    ・客室、レストラン、サービス施設または会議・セミナー室を備える3つ星ホテル
    ・客室、レストラン、サービス施設、会議・セミナー室すべてを備える4つ星ホテル
  • 全国の娯楽施設業(カラオケ店やカクテルラウンジなどサービス施設法に基づく業種)も1日400バーツに引き上げ。

この引き上げにより、2025年7月1日以降、バンコク都でVISAの申請・更新を行う場合、個人所得税の源泉徴収申告書(PND1)に記載するタイ人従業員の日給(相当額)は400バーツ以上であることが必要なため、注意が必要だ。月額では400バーツ✖30日で1万2000バーツ以上となる。

最低賃金引き上げ実施の背景と経緯

中核与党・タイ貢献党は、2023年5月の下院総選挙において「2027年までに最低賃金を全国一律1日600バーツに引き上げる」と公約していた。この一環として、2025年1月1日には、最低賃金の上限を400バーツ、下限を337バーツとする引き上げを実施。バンコク都では9バーツ引き上げられ、372バーツとなっていた。

当初政府は、最低賃金引き上げを「2025年の新春お年玉」と位置づけ、全国一律400バーツとする方針を打ち出していたが、最終的には一部の県・郡に限定した引き上げにとどまった。

そのためタイ政府はその後も、公約達成に向けて最低賃金の全国一律引き上げを模索。25 年5月1日のメーデーには、最低賃金を全国一律400バーツとする意向を表明したが、雇用者代表の反発や、米国による関税引き上げの影響を懸念した被雇用者側からの慎重論が浮上し、結局、全国一律の引き上げは見送られた。

しかし、支持率低下に直面するタイ貢献党政権は、最低賃金引き上げを推進。「観光・サービス業は他業種と比べて賃金引き上げによる影響が少ない」として、まずは同分野を対象とする方針を固め、さらに物価水準が高いバンコクを対象地域に加えた。。

タイ政府は、今回の措置により「労働者のモチベーションが高まり、質の高い雇用の創出、人手不足の解消、生産性の向上につながる」と説明。70万人以上の労働者が恩恵を受けると強弁する。

ただ、2025年6月30日時点で、最低賃金が最も低かった県は1日337バーツ。この県におけるホテル・サービス業従事者は、今回の改定により一気に63バーツの賃上げとなる。

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