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ビザ免除でのタイ滞在、60日から30日への短縮で大筋合意 違法ビジネス防止など目的

 タイ政府は2024年7月15日以降、タイ入国が観光目的の場合に限り、1回の入国につき60日以内の滞在であれば査証(ビザ)を免除しているが、近くこの措置が取り消され、ビザ免除での滞在期間が最大30日となる見通しだ。

タイ観光スポーツ省は、ノービザで60日滞在できる措置を悪用して外国人がタイで特殊詐欺や違法ビジネスを行うケースが増えており、こうした犯罪・不正行為を防止する目的があると説明。ソラウォン観光スポーツ相によれば、「この問題は外務省も把握しており、過去数週間にわたり関係当局間で協議が進められてきた。その結果、ビザ免除での滞在期間を最大60日から30日に短縮する方針で大筋合意に至った。ただし、正式な発表前にさらに詳細を協議する必要がある」とのことだ。

 タイ政府は当初、観光目的のノービザ60日滞在を57カ国の国民に適用していたが、24年7月15日から適用対象を日本を含む93カ国に拡大。この措置は、コロナ禍で大きな打撃を受けたタイ観光業界の業績回復を後押しするため、旅行者のタイ滞在期間を延ばす目的で導入された。

 しかし、実際には観光目的の旅行者の滞在期間は最長でも3週間程度であり、近隣諸国からの旅行者は1~2週間の滞在が一般的であるため、タイ旅行代理店協会(ATTA)は措置導入当初より、ビザ免除制度を利用してタイ国内で違法に働いたり、事業を営んだりする外国人の増加を懸念。結果として、観光業救済策として導入されたビザ免除措置は、名義貸しを利用する観光業者や違法ガイドの増加につながり、ATTAが危惧した通り、観光業の回復を妨げる一因ともなった。

 さらに、タイホテル協会は、違法なコンドミニアムの短期貸し出しが増加しており、ホテル業界に悪影響を及ぼしていると指摘。こうした状況を受け、タイ政府はビザ免除措置の見直しが急務と判断し、今回の変更に踏み切ることとなった。

短期商用ビザ免除措置にも影響か

「ノービザ60日滞在」は観光業の回復を目的として導入されたが、タイ政府はこれに先立ち、コロナ収束後のビジネスや投資を促進するため、24年1月1日から26年12月31日まで、日本国籍者が商用目的で30日以内の滞在をする場合、短期商用ビザ(ノンイミグラントビザ)を免除することにした。

 在京タイ王国大使館によると、ビザ免除が認められる短期商用は以下の通り。

  • タイ側企業との商談や会合
  • タイの子会社・グループ会社・工場・取引先との会議や視察
  • タイ労働省が規定する短期緊急業務(技能者、技術者、監査担当、研修担当、公共・民間事業従事者などによる業務)

23年12月末までは商用目的で訪タイする際、滞在期間に関係なく短期商用ビザの取得が必要だった。しかし、24年1月1日以降、以下のいずれかの書類を用意することで短期商用ビザの取得が免除されている。

  • タイ側の会社(商談先も含む)からの招聘状  (Invitation letter)
  • 訪タイが必要であることを示す証明書  (Certification letter)
  • 会合・商談予約書(Appointment letter)

 上記の書類には、①会社の住所と連絡先②渡航者の氏名③入国目的④入国日⑤出国日⑥滞在期間―が明記されており、⑦社印・社判・角印のいずれかが捺印されていること⑧タイ商務省発行の会社登記簿謄本に名前が記載されている代表者(サイン権保有者)の署名、もしくは代表者(サイン権保有者)から委任を受けている者の署名が入っていること―が求められる。また、入国を許可するかどうかは、イミグレーション担当官の判断によるとされた。

ところで、25年3月19日現在、在京タイ国大使館のウエブサイトでは、短期商用ビザ免除でのタイ滞在期間を30日以内と明記している。ただ、実際の運用では、観光・商用どちらの場合も、入国時に押されるスタンプで60日間の滞在が許可されている。

 当初、入国管理局では観光目的の入国者には「ผ60」、短期商用ビザ免除者には「ผ30ม17」という異なるスタンプを使用することを検討。しかし、現場での混乱を避けるためか、観光・商用を問わず「ผ60ม17」のスタンプが押され60日間の滞在が許可されることになった。

 また、観光目的の場合、入国後、30日の延長申請が可能であることが明記されているが、短期就労目的の場合、タイ政府は当初、タイ国内での延長は不可としていた。ただ、パスポートに推されたスタンプを見ただけでは、観光客なのか、短期商用ビザ免除者なのかを区別することはできず、そのため、短期商用ビザ免除者にも30日の延長が認められている。

しかし今回、観光目的でのビザなし入国で許可される滞在期間が30日となったことで、短期商用目的でのタイ入国もその影響を受けることは必至。公式発表はまだないが、入国時のスタンプで許可される滞在期間が60日ではなく、30日となる可能性が高く、今後、30日以上の商用滞在が必要な場合は短期商用ビザを取得しておく方が無難だ。

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