【労働】タイで雇用不安拡大 非正規化と外国人労働力不足が課題
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国家経済社会開発委員会(NESDC)は、企業が正社員雇用を減らし、パートタイムや契約労働へ移行する傾向が強まっていると指摘した。2022年に6%だった非正規比率は、2024年には42%に急増。契約・臨時雇用も28%に達している。こうした流れは所得安定や法的権利の保護に重大なリスクをもたらす。
さらに、米国の輸入関税強化が輸出企業に影響し、雇用調整圧力を高めている。タイは米国農産品に対して関税ゼロを義務づけられ、競争力低下が避けられない状況だ。
タイには約38万8000人の外国人労働者が労働許可を更新しておらず、特に建設・製造・農業分野で人手不足が深刻化。カンボジア政府の帰国命令も加わり、労働需給は一層逼迫している。政府はスリランカ、ネパール、フィリピンなどからの新規受け入れを決定したが、効果は限定的。
第2四半期の失業率は0.91%と低水準を維持しているが、求職活動をしていない「潜在的失業者」は210万人に増加した。安全対策や労働災害補償の課題も残っており、労働環境全体に不安が広がっている。
