【商業】長寿社会到来 タイの医療・食品・住宅産業で投資機会が拡大
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世界的に「長寿経済」と呼ばれる新しい潮流が拡大している。これは寿命延伸だけでなく、健康維持や精神的充実、生活全般の質を高めることに焦点を当てるもので、タイ社会でも急速に浸透しつつある。ビットクブ・グループのジラユットCEOが健康志向の大型コミュニティを立ち上げたこともこの潮流を後押ししている。
タイはすでに高齢社会に突入しており、平均寿命は120年に達する可能性も議論されている。こうした背景が医療や食品、住宅といった複数の産業に新たな投資機会を生み出している。
特に有望とされるのが3分野。まず、病院やウェルネス施設だ。今後は治療の場にとどまらず、予防医療やライフスタイル改善を含む「病院型ホテル」が拡大するとみられる。第2に、医薬品やサプリメント産業である。特に栄養補助食品やビタミン市場は若年層を中心に需要が増加しており、MEGAやAPCOなどが注目銘柄とされる。そして最期は、高齢者向け住宅やリタイアメントコミュニティ。出生率の低下と高齢者人口の増加により、今後10〜20年で大きな成長分野となる見通しであり、NOBLEやORIGINが代表的な開発業者となる。
タイ保健省の統計によると、2024年の健康関連消費市場規模は約4200億バーツで前年比で9%成長した。世界保健機関(WHO)は、アジア地域の高齢化に伴い予防医療・健康食品市場が今後も2桁成長を続けると予測。証券アナリストは「タイは医療水準が高く観光インフラも整っているため、長寿経済を背景に海外資本の流入が期待できる」と指摘する。
