【労働】労働保護法改正に経済界が反対 タイ商工会議所が正式に意見書提出
広告

タイ商工会議所(TCC)は21日、労働保護法改正案に対する反対声明を発表した。ポット会頭は「法案は雇用主の意見を十分に反映しておらず、経済全体への影響が大きい」として、関係当局に再検討を求めた。
同法案は9月24日に下院で原則承認され、労働時間を週48時間から40時間に短縮し、休暇や有給取得の拡充を盛り込んでいる。商工会議所は全国の地方商議所・外国商工会・業界団体など20以上から懸念を受け取っており、国会議長、労働相、特別委員会に反対意見書を提出した。
声明では「ILO(国際労働機関)の基準に沿った労働環境の改善には賛成だが、経済実態を無視した急激な制度改定は競争力を損なう」と強調。特にSMEにとっては人件費負担が直撃し、生産コストが即時上昇する恐れがあると指摘した。
NESDC(国家経済社会開発評議会)の試算では、労働時間短縮により製造業の単位労働コストが最大7%上昇し、中小企業の約12%が「採算悪化による人員削減の可能性あり」と回答している。
TCCはさらに、労働時間削減が一部の労働者の収入減少につながる懸念も示す。「政策は善意でも、労使双方の協議と影響評価を経ずに実施すべきではない」として、経済界・労働組合・政府三者による新たな協議枠組みを提案した。
商工会議所はILO基準の尊重と並行して「段階的導入」や「業種別柔軟運用」を求める。このため、労働省内でも制度設計の再検証を進めており、来年初めに緩和策をまとめる見通しだ。
TCCは「法改正は国民多数に影響する公共法であり、憲法第77条に定める“広範な意見聴取と影響分析”が不可欠」と強調。今回の反対声明は、政府の労働政策が雇用・投資環境に及ぼす影響をめぐる議論を一段と活発化させる契機となりそうだ。
