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【食品】タイ、ペットフード輸出強化へ タイ産農産物の付加価値拡大の狙いも

タイ国立食品研究所(NFI)は、海外で拡大するペットフード需要を取り込むため、輸出促進策を強化する方針を示した。日本、欧州、米国ではペットを家族の一員とみなす傾向が高まっており、高品質で機能性や栄養価を重視した商品への需要が増えている。こうした需要に対応し、タイ産農産物の付加価値を高めるとともに、ペットフード分野の市場拡大を図ることが狙いだ。

NFIのスパワン所長は、タイは農産物由来の豊富な原材料と加工産業の労働力に恵まれ、政府の輸出支援も背景に、世界有数のペットフード輸出国として成長してきたと説明する。ただし、ヒト向け食品と比較すると、ペットフードの輸出比率はまだ低い水準にあり、成長余地は大きいという。

このため、NFIは2026年度に向けた新たな戦略策定を進めており、11月中に理事会へ提出する予定。同戦略では新規市場の開拓支援や製品開発強化を重点に据え、農家の所得向上と加工業の輸出競争力強化を同時に進める。

その一方で、ヒト向け食品の輸出については、NFIでは2026年目標を従来の1兆7500億バーツから引き下げる方向で検討。世界経済の減速や米国の新関税政策、地政学的緊張など、外部環境の不確実性が影響しているためだ。なお、2024年の食品輸出額は1兆6300億バーツとなり、目標値1兆6500億バーツはわずかに下回ったが、前年比では8.8%増と堅調であった。

タイ商務省の統計では、2023年のペットフード輸出額は約1200億バーツで、加工食品分野の中でも成長が目立つ。農業・食料の高付加価値化を掲げる政府方針とも合致しており、BOI(投資委員会)による設備投資奨励制度の対象にも含まれている。

スパワン所長は「ペットフードは農業・製造・輸出の各分野をつなぐ広がりのある産業であり、新戦略はタイ経済の底力を高める役割を担う」と述べ、今後の拡大に自信を示した。

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