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【投資】タイ投資委員会、31億ドル規模データセンター承認 デジタルハブ戦略が本格的に始動

タイ投資委員会(BOI)は11月10日、総額約31億ドルに上るデータセンター投資4案件を承認した。内訳は、ドバイ系DAMAC DigitalによるIT負荷84メガワットのデータセンター(投資額約267億バーツ)と、タイの地場投資家によるIT負荷200メガワットのハイパースケールデータセンター(投資額約549億バーツ)などとなっている。

BOIはさらに、すでに認可済みでありながら着工が遅れている案件について、約92億ドル相当の投資案件稼働支援策も承認した。具体的には、電力供給確保、工業用地アクセス、専門人材のビザ・労働許可証取得の遅れなどを解消するため、関連する6件のライセンスを一括して付与し手続きのボトルネックを取り除いた。

ナリットBOI事務局長は、これらの措置により「タイの投資枠組みに対する投資家の信認が高まり、雇用の拡大と経済全体の発展に寄与する」と強調する。データセンターはクラウドサービスや生成AIを支える基盤インフラであり、電力・冷却設備、光ファイバー網、サイバーセキュリティ、人材サービスなど、多数の関連産業を巻き込む波及効果が見込まれる。

タイ政府は「デジタルハブ構想」や「Cloud First」政策の下、データセンターとソフトウエア開発を重点誘致分野に位置づける。BOIは、法人税最大8年間の免除、設備輸入関税の免除、外国人専門家による土地所有許可やビザ・労働許可証手続きの迅速化などの優遇措置を用意し、デジタルインフラ投資を積極的に呼び込んでいる。こうした政策の下、2024年までにデータセンターとクラウドリージョンに関するBOI認可案件は累計37件、投資額は約985億3900万バーツに達した。

AWSは2037年までに約50億ドルを投じてバンコクのクラウドリージョンを整備。グーグルもチョンブリ県WHA工業団地に約10億ドル規模のデータセンターとクラウドリージョンを建設する計画だ。マイクロソフトもタイ初のクラウドリージョンを立ち上げるなど、世界的ハイパースケーラーの参入が相次いでいる。

金融機関の調査では、タイのデータセンター産業の収入は2025〜2027年に年平均7.5〜8.5%の成長が予測されており、その牽引役はクラウドとAI関連需要とされる。2025年上期だけで、データセンター関連投資は5212億バーツ(28案件)に達したとの試算もあり、今回の新規4案件と停滞案件のテコ入れは、この成長トレンドを一段と押し上げる材料となりそうだ。

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