【経済】タイ政府が付加価値税の段階的引上げを検討 28年までに8.5%へ移行
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エーカニティ財務相は11月20日、タイ政府が付加価値税(VAT)を段階的に引き上げ、2028年までに8.5%へ移行する計画を明らかにした。さらに2030年までには法律で認められた上限税率である10%への引き上げも視野に入れていると述べた。歳入拡大と財政健全化を進めるための措置という。
タイのVATは1992年に導入され、法定税率10%が設定されているものの、景気刺激を目的に7%が適用され続けている。財務省は今後数年の歳出増大、とりわけ社会保障費やデジタル経済投資の拡大を踏まえ、安定的財源の確保が急務とした。タイ中央銀行(BOT)が示す経済成長率2〜3%台の中で税収構造の脆弱性が指摘されており、VATの引き上げは低所得者の生活に打撃を与えるが、それでも避けられないとの見方が政財界で広がっている。ただ、相続税など富裕層に影響のある税の引き上げには消極的だ。
なお、近隣諸国との税率比較でも、タイの現行7%はマレーシアの6%と並び低水準にある一方、インドネシアは11%、フィリピンは12%と高い。域内競争力への影響を抑えつつ財源を確保するため、段階引き上げ方式が選択肢として浮上した。
政府内では中小企業への影響や消費者物価への波及を抑えるため、緩やかなスケジュールでの実施を検討している。
