【IT】タイ商務省ワンストップサービス始動、AIとクラウドで手続き単一窓口化 透明性に迅速化

タイ商務省はAIとクラウドによる新基盤「MOC Plus」を立ち上げ、各局に散在する手続きと照会を単一窓口に束ねる。スパジー商務相はQuick Big Win政策の柱として、事業者が1カ所で用件を完結できるワンストップサービスを目指すと説明した。AWS、Google Cloud Thailand、Huawei、Microsoftの4社と組み、中央データ基盤と国際認証のクラウドセキュリティを整備する。データを体系的に管理して透明性と追跡可能性を高める狙いだ。
目的は①情報の正確さと迅速さを上げる②AI助手で24時間対応し待ち時間と不要な移動を減らす③AIで利用者別の助言を返す④工程を可視化し汚職の余地を縮めるーの4点だ。まず3局でスタートする。商務開発局(DBD)は名義貸しの疑いをAIでスコア化し、役員の国籍・身分、住所の重複、マネーミュール口座や生活福祉カード受給者と売上の不釣り合いなどを突合して虚偽登録の抜け穴を塞ぐ。知的財産局(DIP)はAIチャットボットで相談を受け付け、類似商標の重複確認や出願への対応を効率化する。国際貿易振興局(DITP)は輸出入データやFTA優遇の情報をAI助手で提示し、中小企業の意思決定を支える。
利用者は省サイトから質問し、AIが基本問答を処理、複雑な案件は担当者へ自動的に振り分ける。省のコールセンターも中央データベースで支え、音声メニューの迷走や誤転送を減らす。2026年にはパートナー企業が職員研修を担い、県の商務事務所や在外商務官にも横展開する計画だ。中央基盤は省内サービスを横断し、県商務事務所や在外商務官の業務にも接続する構想で、重複審査を減らし政策判断の迅速化にもつなげる。日本企業にとってはDBD登録や知財出願、貿易統計の照会がオンラインで整理されれば、手続きの見通しが立てやすくなる。
