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【IT】AIデータセンター電力需要が5年で倍増へ 中国が省エネ性能と国家戦略で米国抑え優位に

生成AIの急速な普及に伴い、データセンターの電力消費量が世界的に爆発的な増加を見せている。IT調査大手ガートナーによると、2025年のデータセンターの電力需要は前年比16%増となり、2030年には現在の2倍以上の980テラワット時まで急増する見通しだ。特にAIに最適化されたサーバーが需要増加の6割以上を占めると予測されており、デジタル経済の成長を維持するためのエネルギー確保が各国の新たな課題となっている。

こうした中、中国がエネルギー効率の面で米国に対して構造的優位性を確保しつつある。中国はハードウェアの自社設計やシステムレベルでの最適化により、省エネ性能の高いサーバーを開発しており、国家主導のインフラ整備によって電力供給とデータセンターを効率的に連結させている。

一方で、膨大な電力を必要とするデータセンターの運営には、環境負荷の低減も求められている。今後は水素エネルギーや地熱発電、小型モジュール炉(SMR)といった次世代エネルギーの導入が模索されており、短期的には天然ガスや蓄電池システム(BESS)が需給調整の主役となる見込みだ。

タイにおいても、投資委員会(BOI)が環境配慮型のグリーンデータセンターに対する税制優遇措置を強化しており、グーグルやマイクロソフトといった巨大テック企業の誘致を加速させている。

AI競争の主戦場はもはやモデルの開発だけでなく、安定した電力をいかに安価に供給できるかというエネルギー安全保障の領域に移っている。デジタル社会の基盤を支えるエネルギー戦略の巧拙が、将来の国家競争力を左右することは疑いようがない。

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