【IT】中東危機がタイのデータセンター投資の電力調達リスクを浮き彫りにする
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中東の武力衝突に起因するエネルギー価格の急騰は、タイが力を入れてきたデータセンターやデジタルインフラへの投資戦略に新たな不確定要素をもたらしている。世界銀行は4月8日の報告書のなかで、エネルギー供給の安定性こそがタイのデジタル経済戦略の成否を左右する最大の変数だと警告した。
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電力コストが外資の意思決定を左右
BOIは2025年末から2026年にかけて、データセンターを「デジタル産業」の最重要分野と位置づけ、直接電力購入契約(Direct PPA)や再生可能エネルギーへのアクセスを整備することで投資促進を進めてきた。しかし中東危機でLNGのスポット価格が一時1MMBtu(百万英熱量単位)あたり25.40米ドルまで急騰したことで、電力コストの先行きが読みにくくなった。タイの電気料金の決定権は電力規制委員会(ERC)が持ち、2026年5〜8月期の料金は3月末に発表される予定だったが、エネルギー価格の乱高下を受けて審議が複雑化している。タイ発電公社(EGAT)が保有するとされる数百億バーツ規模の余剰収益を活用し、電力料金の上昇を抑制する選択肢も議論されている。
日系企業もクラウドインフラ展開を検討
シンガポール・香港・米国・欧州を中心とする超大型データセンター案件がタイに集まりつつあるなか、日系IT企業や通信事業者も同国でのクラウドインフラ展開を検討している。ここでは電力の安定調達と再エネ比率の確保が投資判断の前提条件となっており、BOIの「ファストパス」を活用した申請手続きの迅速化と合わせ、エネルギーセキュリティに関する政府との事前協議が不可欠となっている。
