【デジタル】世界銀行が東アジア成長率4.2%に下方修正、タイの電子機器輸出は32%増

世界銀行は4月版の「東アジア・太平洋経済報告」を公表し、東アジア・太平洋の開発途上国・地域の2026年の成長率を4.2%に下方修正した。2025年の5%から大きく鈍化する見通しで、2027年は4.4%に小幅回復すると予測している。中国の景気減速、世界的なエネルギー価格の高騰、貿易政策の不透明感が主な要因だ。
タイは東アジアの中でも特に影響を受けやすい国の一つとして名指しされた。石油・ガスの純輸入額がGDP比約7%に達するためで、生産コスト・物流費・家計の生活費に同時に圧力がかかる構造となっている。世界銀行は、国際原油価格が1バレル当たり約20ドル(約650バーツ)上昇すると、タイのインフレ率が6カ月以内にさらに0.67ポイント上昇すると推計しており、東アジアの中でも最も高い水準の影響を受ける可能性が指摘されている。また、タイの政府債務がGDP比66%程度に達しているため、追加の補助金を打ち出す財政余地も限られている。
AI関連輸出が支える明るい面
こうした厳しい見通しの一方、世界銀行はAI(人工知能)関連技術への投資がASEAN各国の電子機器製造成長を後押ししていると指摘する。タイの電子機器輸出は2025年に32%増と一般輸出品を大幅に上回るペースで拡大した。半導体・データセンター・AI支援機器向け部品の需要増大がタイのサプライチェーンへの組み込みを促進した形だ。ただ、世界銀行は、タイ企業のAI活用率が多国籍企業子会社でも13〜17%にとどまり、米国の37%を大きく下回ると警告しており、デジタル人材・高速通信網・技術革新のエコシステム整備の加速が課題として残っていると指摘した。日系電機・電子企業には、タイでのAI関連サプライチェーン組み込みにさらなる好機がある一方で、現地のデジタル人材確保の難しさにも備えが必要だ。
