【IT】タイのデータセンター投資が急騰、BOI申請額が前年比9倍に

タイがアジア太平洋地域のデータセンター(DC)拠点として急速に存在感を高めている。CGSインターナショナルによると、2026年第1四半期(1〜3月)のタイ投資委員会(BOI)へのデジタル分野投資申請額は8740億バーツに達し、前年同期比で823%増と約9倍の水準を記録した。申請件数は48件で、TikTokの親会社バイトダンス傘下の現地法人「TikTok System(タイランド)」が提出した8420億バーツの大型データホスティング事業がその大半を占める。
AIとクラウドが加速させる構造転換
タイのデジタルインフラへの投資額は2024年に14億8000万ドル(約460億バーツ)に達し、2030年まで年平均18%の成長が見込まれている(調査会社モルドー・インテリジェンス調べ)。電力供給量は年間30%超のペースで拡大し、現状の0.77ギガワットから2030年には2.93ギガワットへと約4倍に増える見通しだ。
CGSのリサーチ責任者カセム氏は「タイはAI需要の急拡大、クラウド移行の加速、データ主権規制の強化、そして容量不足に悩むシンガポールからの需要流入という複合的な要因によって、デジタルインフラの根本的な構造転換期にある」と分析する。タイ国内で主流となるのはTier 3規格のDCで市場の85%を占め、年間停止時間が2時間以内という高い信頼性を比較的低コストで実現できるため、製造業・金融・小売など幅広い分野で採用が進む。
課題となるのは電力インフラの逼迫だ。東部経済回廊(EEC)では変電所の容量不足による竣工遅延リスクが高まっており、再生エネルギーの直接売買契約(ダイレクトPPA)の普及遅れも懸念される。こうした状況を受けBOIは大型戦略投資の審査期間を最大50%短縮する「タイランド・ファストパス」制度を導入し、投資家の誘致を加速させている。
