【税務】タイ財務省が低所得者向けネガティブ所得税制度の導入を検討 審査加速
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タイ財務省は、現行の社会福祉給付制度を抜本的に見直し、就労を条件とした「ネガティブ所得税(NIT)」の導入に向けた検討を進めていることが分かった。タイ英字紙「バンコク・ポスト」が6月20日、財務省関係者の話として報じた。
NITとは、一定の所得水準を下回る就労者に対して政府が現金を給付する仕組みで、現行のプラス所得税(一定額以上の所得に課税する制度)とは正反対の概念だ。受給条件としては、対象者が就労していることと個人所得税(PIT)の申告を行っていることが必要とされる見通しで、「働く人を支援し、勤労インセンティブを維持しながら生活水準を底上げする」という政策目標が掲げられている。NITは先進国でも採用例があり、米国の勤労所得税額控除(EITC)や英国の給付システムとも共通する発想に基づく制度だ。現時点では具体的な所得基準や給付水準の詳細は明らかにされていないが、財務省は審査のスピードアップを指示しており、制度設計が本格化する段階に入ったとみられている。
財務省がNIT導入の検討を急ぐ背景には、現行の福祉制度が給付の重複や受給資格の不明確さといった構造問題を抱えているというの認識がある。NITは対象者の所得と就労状況をデータで把握した上で給付額を決めるため、より公平で効率的な再分配が可能になるという。
2026年のタイ経済成長率が2%前後にとどまる見通しであるが、家計債務のGDP比は86.7%に達しており、これが個人消費の回復を阻む大きな課題となっている。NITが導入されれば低所得就労者の可処分所得の底上げを通じた内需回復効果も期待でき、消費低迷の処方箋として注目が集まっている。
