【不動産】タイ南部で名義貸し摘発が強化 富裕層の高級別荘の購入判断に慎重ムード

タイで外国人による土地所有を規制するノミニー(名義貸し)ビジネスへの取り締まりが強化され、プーケットやコ・サムイ(サムイ島)などリゾート地での高級別荘購入に慎重ムードが広がっている。タイ英字紙「バンコク・ポスト」が6月21日に報じた。
商務省事業開発局(DBD)はコ・パガン(パガン島)とサムイ島の2島で計1万1426社(全登記企業の約68%)が名義貸しの疑いのある企業として特定したと発表した。これを受け6月20日には、プーケット、パンガー、クラビの南部3県で大規模な合同捜査が実施された。警察・土地省・事業開発局など500人超の捜査員が投入され、タイ人27人と外国人21人の計48人を逮捕。押収資産は10億バーツを超える。逮捕された外国人の国籍はイスラエル、フランス、オランダ、ロシアなど多岐にわたっており、南部離島を中心に広がる外国人実効支配の実態が浮かび上がった。
外資規制厳格化で不動産市場に影響
タイの外国人事業法(BE2542年)は外国人が土地を直接保有することを原則禁止している。これを回避するため、タイ人名義の法人を設立して外国人が実質支配する「ノミニー」手法が横行してきたが、政府は近年この抜け穴の封鎖に本腰を入れている。
外国人の不動産購入者を仲介する業者によれば、今回の摘発を受けて欧州系・中東系の富裕層投資家が購入決断を保留する動きが出ているという。タイの不動産市場は国内需要の低迷で苦境が続く中、外国人富裕層がプーケットなどの高額物件市場を下支えしてきた側面があり、規制強化の影響が注目される。
なお、コンドミニアムは外国人が総戸数の49%まで所有できる規定があり、合法的な外国人取得の選択肢は引き続き存在する。日系企業が社宅や駐在員住宅として物件を取得する際には、所有形態については法務専門家への確認が不可欠だ。
