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「PROPAK ASIA 2023」  リサイクル事業に大きな伸びしろ

アジア最大級の包装関連展示・商談会「PROPAKASIA2023」が2023年6月14日から17日までバンコク国際易展示場(BITEC)で開催された。昨年比35%増の5万1000人が入場。これまでの最高人数だった3万7500人を大きく上回った。出展企業は同130%増の1800社となり、こちらも過去最大の企業数となった。そのため、会場に入りきらず、通路部分もブースエリアとして利用していた。

会場には国・地域別ゾーン(日本、中国、イタリア、シンガポール、スペイン、韓国、独バイエルン州、台湾、オーストラリア、スイス、北米、英国、フランス、マレーシア)も設けられるなど、世界市場で注目度の高い経済イベントとなっているようだ。このなかでも、日本と中国の企業が存在感を示していた。

タイで開催される国際見本市・商談会の「常連」である公益財団法人・東京都中小企業振興公社は今初めてPROPACK ASIA にブースを設け、都内企業5社の出展を支援した。このうち2社が環境関連企業だった。事業戦略部販路・海外展開支援課の堀切川祐子課長は、これまで環境関連企業からの海外展開の相談はそれほど多くなかったが、タイ政府がCG(バイオ・循環・グリーン)経済への投資を誘致していることもあり、今後増やしていきたカテゴリーと指摘。PROPACK ASIA には今後も継続して出展していく方針という。

目次

リサイクル・プラスチックパレット ~ 太和ホールディング

太和ホールディング(東京都千代田区)は、ポリプロピレン・ポリエチレンの廃棄材だけを使って製造したリサイクル・プラスチックパレットを紹介した。同社は、安価な片面使用と重量物対応の両面使用の2 種類を製造販売。前者はワンウエイの物流パレットで出荷用・輸出用・通い用に使われ、耐荷重は1㌧。在庫生産している。これに対し、後者は出荷用・輸出用のほか、保管用としても使用され、耐荷重は最大3㌧となる。こちらは受注生産となるため価格が幾分高い。

東京都環境局が提示している計算式で算出すると、リサイクル材とバージン材で製造したパレットを比べた場合、製造から廃棄までの二酸化炭素(CO2)排出量は、リサイクル材使用の方が77%以上削減できる。そのため、山口浩・新規開拓営業部部長にれば、パレット自体は製品とした目新しいものではないが、エコの観点から関心を持ちブースを訪問するケースが多かったという。タイ大手では石油化学製品輸入販売のユニオン・ペトロケミカル、素材業界トップのサイアムセメントの関係者が「100%リサイクル材を使ったパレットはタイにはない」として同社のパレットを評価。タイでは良質なリサイクル材が入手できないため、リサイクル材使用率の上限は約20%であり、それ以上は技術的に無理と話していたという。日本の環境省は容器リサイクル法を定めており、指定業者しかリサイクル材の販売ができない。しかし、タイには規制法が存在しないため、仕分けの徹底ができず、そのため粗悪なリサイクル材が混在してしまうようだ。

同社が見本市・商談会に出展するのは今回が初めて。タイを選んだのは、エコへの関心の高い日系企業・外資系企業が多数進出しているためという。ブースを訪れたのはタイ企業と日系企業がほぼ半々。ほかにもサウジアラビア、ベトナム、フィリピンの企も関心を示していた。

プラスチックを大量に使用している日系企業からは自社でリサイクルできるかとの相談を受けたという。この会社は現在すべて廃棄しているパレットをリサイクルしてパレットを再製造する「水平リサイクル」を検討しているとのこと。太和ホールディングも日本では回収してきたパレット破材をリサイクルしたものを10%、指定業者から購入したリサイクルパレットを90%使用している。このため、山口部長は、日本製プラスチックパレットは品質がいいため、数量があれば水平リサイクルをタイで行うことも可能と指摘する。タイもこれからリサイクル材規制は厳しくなっていくというのがタイ人専門家の見方。タイのリサイクル事業の伸びしろは大きそうだ。

包装食品資源分別機&電解水給水器 ~ テックコーポレーション

30 年前から環境保全機器の開発製造をしているテックコーポレーション東京支社(本社:広島県)は包装食品資源分別機と電解水給水器を紹介した。包装食品資源分別機は包装された食品廃棄物を破砕・分別する装置であり、消費期限切れや印字・軽量ミスのあったコンビニ弁当・パン・おにぎりなどを投入すると破砕後、重いゴミは下部の食品資源用トレーに、軽いゴミは風で飛ばされ包装材トレーに落ちる。破砕・分別にかかる時間はわずか2~3秒。中野由則・特販部部長兼広報室室長によれば、人件費削減になるほか、カッターを使用した手作業の場合、負傷など労働災害を招く可能性もあるため、日本では食品工場を中心に、ゴミを集めてくる中間処理業者などが利用。さらに養豚業者が生ごみを分別し飼料を得るために使うケースもあるといい、ゴミの資源化を後押ししている。

一方、電解水給水器は、塩水を電気分解して洗浄効果のあるアルカリ性電解水および除菌脱臭効果のある酸性電解水を生成する装置だ。アルカリ性電解水はタンパク質・油脂汚れを分離分解するため、床やまな板の油汚れ 飲食店ではフライヤー回りの油汚れの清掃に用いられる。また、水生成だけでなく、業務用洗濯機と連動させ、例えば食品工場のエプロン洗いを洗剤を使わずに洗濯することも可能。洗剤を使わないことから界面活性剤を流さずにすむ。泡が立たないためすすぎが少なくてすみ、節水効果が期待できる。結果として洗濯時間は短くなり節電にもなる。

また酸性電解水は除菌と消臭効果を持つため、野菜や魚の洗浄に適しており、アルカリ性電解水と併用することでより高い除菌効果を発揮する。同社では飲食店、食品工場など使用する電解水の量に呼応した複数モデルを用意している。

顧客の関⼼は「製品がサステイナブルかどうか」

PROPAK ASIA2023 の会場で来場者の関心を強く引いていたのは、自動梱包・注入器機を展示しているブース。特に、少量の液体を小型容器に自動で詰め込む機器が、中東からの参加者を中心に注目度が高かった。そのほか、真空パック機の説明を詳しく聞くタイ人も多かった。その一方で、数年前に人気の高かった見栄えのするパッケージはあまり関心を引いていなかった。

軟包装袋製造・販売のフジシールインターナショナル(大阪市)は、シャンプー・化粧品・ボディーソープなどの詰め替え用ソフトパウチおよびホルダーを展示。多くの訪問者を集めていたが、Fuji Seal Packaging (Thailand) のロドリコ氏によれば、「製品がサステイナブルであるかどうか」の質問が多かったという。製造における環境負荷低減への取り組みを継続し社会に貢献するこを怠った企業の製品が敬遠される時代は確実に近づいているようだ。

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