【製造】エネルギー危機でタイ中小企業の22%が3カ月以内に廃業の危機

タイ中小企業振興局(OSMEP)の最新調査で、タイの中小企業(SME)の21.3%が今後90日以内に事業を継続できなくなるリスクに直面していることが明らかになった。中東紛争の長期化に伴うエネルギーコストの急騰が、企業の手元資金を急速に圧迫している。
タイ中小企業連盟のサンチャイ会長は、現状を「複合危機」と位置づける。中東情勢が地政学的リスクにとどまらず、エネルギー・貿易・金融の各分野に波及し、グローバルな地経学的戦争へと発展しているとの見方だ。影響は大企業よりも資金的余力の乏しいSMEに集中している。
SMEが直面する問題は資金繰りだけではない。原材料・光熱費が高騰する一方、個人消費の低迷で価格転嫁が難しい「価格の罠」が経営を直撃している。調査では、SMEのコスト指数が37.3と5.2ポイント低下し、利益指数も47.7まで落ち込んだ。生産指数・受注指数がともに悪化しているが、雇用指数だけは49.2で踏みとどまっており、多くの事業者が雇用を守ろうと必死の努力を続けていることがうかがえる。
資金繰りの深刻さを示す「生存期間」の内訳を見ると、21.3%が3カ月未満、59.1%が3〜6カ月、15.1%が7〜12カ月、残り4.5%のみが1年超の余力を持つと回答した。タイには現在、全産業の99.5%を占める中小企業が約326万社あり、約1340万人の雇用を支えている。
OSMEPはすでに1200億バーツ規模のSME向け低利融資(年利1%、5年間)の提供を決定しており、5月5日から受付を開始した。うち400億バーツは機械設備の刷新向け、別の400億バーツはデジタル・AIを活用した事業転換向けに充てられる。ただし需要が供給を大幅に上回る可能性が高く、早期に資金が底をつく懸念も指摘されている。
日系製造業にとっては、サプライヤーである現地SMEの廃業リスクが部品調達の遅滞・途絶に直結しかねない。在タイ日系企業は主要取引先の財務状況を再点検し、代替調達先の確保を含む早急な対応が求められる局面に入っている。
