【エネルギー】タイは再生可能エネルギーへの速やかな転換が不可欠TDRI研究員が強調
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米国とイランが60日間期限の覚書(MoU)に署名し、ホルムズ海峡の通航正常化に向けた交渉が動き始めた。短期的にはエネルギー調達コストの安定が期待される一方、タイ開発研究所(TDRI)のアリポン研究員は「地政学リスクはいつ再燃するか分からない。今回の停戦を蜜月期間と捉え、次の混乱への備えを急ぐべきだ」と警鐘を鳴らす。
タイは一次エネルギー供給の約38%を石油、27%を天然ガスに依存しており、中東産の原油はエネルギー輸入全体の70〜80%を占めると推計される。エネルギー輸入大国であるタイにとって、ホルムズ海峡の混乱は電気料金や輸送コストの急騰を通じて全産業に打撃を与えることになる。
今年前半は中東紛争の影響でエネルギーコストが急上昇し、国内物価や企業収益に深刻な影響を及ぼした。タイのインフレ率はマイナスだった第1四半期から、第2四半期以降は3%超に跳ね上がり、通年で5%近い水準に達するとの予測もある。エネルギー政策の立ち遅れがマクロ経済全体のリスク要因となる構図が改めて浮き彫りとなった。タイが化石燃料に頼り続ける限り、外部ショックへの脆弱性は解消しないとの見方が研究者や政財界で急速に広がっている。
アリポン研究員は緊急対策として、中東以外への原油・LNG(液化天然ガス)調達先の分散化を求める。中長期的には電気自動車(EV)の普及加速によって輸送部門の化石燃料依存を減らすとともに、太陽光を中心とする再生可能エネルギーへの投資拡大を政府に要請。産業界・企業・家庭にわたるエネルギー効率の向上も外部ショックへの耐性強化に欠かせない施策だとし、国家送電網の近代化と蓄電技術への投資促進も必要と訴えた。
