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【政治】タイ最高裁がタクシン元首相に再収監を命令 禁錮1年

タイ最高裁判所刑事部は9月9日、タクシン・チナワット元首相に対し、改めて禁錮1年を科す最終判断を下した。これにより同氏は即時再収監されることになった。判決では、警察病院14階(特別室)での120日間の入院期間は刑期に算入されないとした。最高裁は「病状を理由とした刑執行停止、恩赦を根拠とする収監免れは認められない」と結論付けた。

タクシン氏は2023年8月22日に帰国し、その直後に収監された。3件の刑事事件(ラチャダー地区国有地取引疑惑、宝くじ番号販売不正事件、クルンタイ銀行融資関連事件)で有罪判決を受け、当初8年の禁錮刑が確定していた。その後、国王恩赦により刑期は1年に減刑されたが、収監当日に体調不良を訴えて警察病院に搬送され、同病院での長期入院が続いた。この経緯に対して「病状は軽微だったのではないか」「仮病ではないのか」とする批判が各方面から寄せられていた。

最高裁は審理過程で、刑務所関係者や医療関係者ら30人以上を証人として喚問し、収監直後の対応や入院措置の適否を検証。その結果、「体調を理由とする長期の外部入院は不適切」と結論付け、刑のやり直しを命じた。また、医師3人に対しては、実際には危険な状態でなかったにもかかわらず不正確な診断を行ったとして、医師免許停止などの処分が科された。

判決当日午前、タクシン氏は娘のペートンターン氏とピントーンター氏に付き添われて最高裁に出廷し、多くの報道陣や支持者に囲まれながら法廷に入った。そして判決後、直ちに刑務所服に着替えさせられ、収監手続きが執行された。

今回の判決を受け、タクシン氏はSNS「X」に声明を投稿。「国王陛下のご恩赦により刑期が1年に短縮されたことは、身に余る恩典である。私は判決を受け入れ、残された人生を祖国と国民のために尽くしたい」と表明。さらに、2001年から2006年の首相在任期間に「政策競争を通じて民主主義を強化したことは誇りである」と振り返りつつ、「自由は失っても発言の自由は残っている」と強調した。

今回の判断により、タクシン元首相は実刑1年を改めて服することとなった。ただ、タクシン派・タイ貢献党はペートンタン首相解職により野党に下野しており、国民人気も落ちていることから、政局への影響は限定的とみられている。

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