【税務】タイが導入するグローバル・ミニマム課税 対応急務な日系大手企業

タイ財務省と歳入局は、経済協力開発機構(OECD)が主導する「第2の柱(グローバル・ミニマム課税、多国籍企業に最低15%の実効税率を課す国際課税ルール)」のタイ国内導入に向けた下位法令と通達を公表。年間連結売上高が7億5000万ユーロ(約280億バーツ)以上の多国籍企業グループを対象とし、タイ国内事業体の実効税率が15%を下回る場合に差額を課税する「トップアップ税」の計算基準や適用除外規則を明確にした。
通達では、実体的な事業活動に基づく所得控除(実質ベース所得除外額)の計算方法を提示。人件費や有形固定資産の帳簿価額に応じた控除率を設定し、2025年度の適用開始から段階的に縮小させ、2032年に向けて恒久基準へ移行するスケジュールだ。最初の申告期限は、2025年1月1日以降に開始する事業年度を対象に2027年6月と定め、企業側の準備期間に一定の配慮を示した。
この税制改定は、タイ投資委員会(BOI)の法人税免除などの恩典を受けてきた大手日系企業にも影響を及ぼす。実効税率が15%未満に抑えられていた事業体はタイか日本側で追加納税が生じるため、税制優遇による減税効果が相殺される懸念がある。これに対しタイ政府は、税務上の控除にとどまらず、先端技術投資や人材育成への直接的な助成金制度の創設など、優遇措置の再設計を進めている。
対象となる日系企業グループは、直近4事業年度のうち2年度以上で連結売上高基準を満たしているかを速やかに確認する必要がある。グローバルな連結財務データの収集システムを早期に構築するとともに、サプライチェーン全体の税負担を精緻に再試算する体制づくりが急務だ。現地法人と日本本社の財務部門が緊密に連携し、新たな税務コンプライアンス要件に遅滞なく対応する態勢を整えなければならない。
