【IT】タイ国家経済社会開発評議会、「データセンター投資に雇用面の課題あり」と指摘

タイの国家経済社会開発評議会(NESDC)は8月24日、データセンター投資に関する分析を公表した。ワラワン副事務局長は、データセンターがデジタル経済を支える重要インフラである一方、電力と水の消費が大きく、雇用創出効果は投資規模ほど大きくないと指摘した。
同氏によると、データセンター産業のサプライチェーンは、電力・通信・半導体・演算装置などの川上、プライベートデータセンターやコロケーション、クラウドを担う川中、デジタルサービスの利用者である川下で構成される。主な利用者はIT・通信業界が38%、銀行・金融・保険業界が26%、製造業が15%、公共インフラが9%、その他が12%を占めるという。
世界のデータセンター投資額は、2025年から2030年までの累計で最大6兆7000億ドルに達すると見込まれ、アジアは需要全体の約34%を占める見通しだ。ただ、電力使用量について、アイルランドで国内電力消費の約21%をデータセンターが占める事例や、米国の一部地域で電力網に負荷がかかっている実態も紹介した。
雇用面では、建設期には最大1700人規模の雇用が生まれるものの、稼働開始後はエンジニアや技術者、警備員など約500人規模まで縮小する例が多いという。ワラワン氏は、投資額の大きさだけでなく、タイの事業者がクラウドやソフトウェア、サイバーセキュリティーなど高付加価値の分野に参入できるかが重要だと強調した。
NESDCは今後、エネルギー消費目標の設定や電力使用量の報告義務、環境影響評価、水資源利用のルール整備を進め、再生可能エネルギーの活用および地域社会との対話を促す方針だ。投資誘致だけでなく、タイ経済への長期的な価値還元を重視する姿勢がうかがえ、日系のクラウド・電機・電力関連企業にとっても、投資判断や事業参入の材料となりそうだ。
