【労働】タイ大卒若者の失業率は13〜14% AIが雇用を変えた 学び直しが急務に

タイでは大学を出た若者の就職難が深刻になっている。タイ語メディア『The Nation』が10月20日にバンコクで開いたフォーラム「Nation Forum 2027」で、民主党のコーン副党首(元財務相)が労働市場のゆがみを指摘した。全体の失業率は約1%、人数にして約40万人に留まる一方、15〜24歳では3〜4%、このうち学士以上の学歴を持つ者は13〜14%に跳ね上がるという。
コーン氏は、学歴が高いほど就職に有利とは限らず、職務経験のない新卒が特に不利だと分析。在学中から働いて経験を積める仕組みを支持し、最初の仕事に就くことがその後のキャリアの土台になると強調。「これからの働き手に必要なのは一度学んだ知識を一生使う知のではなく、変化に合わせる力だ」と述べ、5年ごとに大きな技能の転換を迫られる可能性があるとした。中国の「無人工場」にも触れ、製造業も技術の競争にさらされていると指摘した。
社会人向け研修を手がけるフューチャースキル社のタンポン氏は、AIの使い方をよく理解しないまま仕事に使う社員が多い点を問題視。タイ企業の社員のAI活用能力を4段階で評価したところ、平均は1.8に留まったという。AIの答えを確かめずに受け入れる例もあり、企業が投資に見合う成果を得られない一因にもなっているという。同氏は、社員が新しい技能を学ぶ時間として、勤務時間のうち週2〜3時間を充てるよう企業に提案した。
チュラロンコン大学心理学部のジェニファー准教授は、学び直しには知識だけでなく考え方の切り替えが必要だと指摘。失敗した自分を責めすぎず、そこから学ぶ姿勢が立ち直る力を育てると述べた。
新卒の採用や人材育成は、タイに拠点を置く日系企業にとっても身近な課題だ。AI時代に合った研修の仕組みを整えられるかが、優秀な人材を確保する上での鍵となりそうだ。
