【労働】タイ企業の社員、AI活用力は4点満点の1.8点 使えても理解浅く成果出ず

タイ企業で働くタイ人スタッフのAI(人工知能)を使いこなす能力は、4点満点で1.8点に留まる――。社会人向けオンライン学習サービス「FutureSkill」の法人部門を率いるタンポン氏が、ネーション・グループ主催の経済フォーラムで明らかにした。
低い点数の理由について、同氏は「多くの人がAIを試してはいるが、仕組みを理解していない」と指摘。ChatGPTのような対話型AIは、次に来る言葉を予測して文章をつくるが、こうした基本を知らないため、AIの答えをうのみにし、正しいかどうかを確かめない人が多いという。その結果、多くの企業がAIへの投資に見合う成果(ROI)を出せていないとした。
学習の傾向にも食い違いが見られる。個人の利用者に今年いちばん売れた講座は、表計算ソフト「Excel」だった。一方、企業が社員向けに買う講座は、リーダーシップや考える力を鍛える「思考スキル」が中心となっている。
同氏は、仕事で求められる力の価値は変わりつつあると指摘。ただ単に文章を書く、画像をつくるといった作業はAIが短時間でこなせるため、価値が急速に低下。代わりに重みを増すのが、企画・戦略を立てる力や、物事を全体からとらえて分析する力だ。「どんな結果がほしいかを描けなければ、AIがどれほど賢くても役に立たない」と強調する。
企業への助言としては、道具を配るだけでは成果は出ないと説明。まず社員の力を見極め、AIの長所と限界を理解させたうえで、仕事の流れそのものを組み直す必要があるというした。 タイではAIの利用が急速に広がっている。国家経済社会開発評議会(NESDC)は、生成AIの影響を受ける労働者が約900万人、仕事を置き換えられる恐れがある人が約220万人に上ると試算。タイで人材を育てる日系企業にとっても、ツールの導入より、考える力を育てる研修が重要になりそうだ。
