【労働】AIの普及でタイ労働者220万人に失業リスク TDRIが失業率3.66%と試算

タイ開発研究所(TDRI)は、人工知能(AI)の普及によって、タイの労働者約220万人が仕事を失うリスクにさらされているとの分析を公表した。就業者全体の5.6%にあたり、対象は50を超える職種に及ぶ。同研究所の年次公開会議で、プッティパン研究員が発表した。

分析には国際労働機関(ILO)の指標を使用。仕事の中身をAIがどこまで代わりにこなせるかを調べた。リスクが最も高いのは、事務職やデータ入力の担当者など、作業の大半をAIで処理できる職種。会計士、翻訳者、マーケティング担当、広告などの制作職も、リスクの高い職種に挙げられた。

影響はすでに表れている。AIが入門的な仕事の一部を担うようになったことで、新卒者は就職先を見つけにくくなっている。2024年と2026年のそれぞれ4〜6月期を比べると、ネット上の求人件数は6%増に留まる一方、AIの技能を求める求人は約4倍に増えた。タイにおける失職リスクの大きさは、ASEANでシンガポール、フィリピンに次ぐ3番目となる。

タイの失業率はこれまで1%を下回ってきたが、TDRIの試算では、最悪の場合、2030年に失業率が3.66%に上昇する。これは、AIが知識労働の約80%をこなせるようになり、企業の約60%がAIを導入するとした場合の想定だ。。賃金総額も1%減る可能性があり、所得税収の減少や社会保険基金への負担につながると指摘した。

対策として、TDRIは以下の3つを提言している。「企業がAIを導入して仕事の中身を組み替える費用を補助すること」「労働市場のデータをもとに転職や技能の習得を後押しすること」「高齢者介護など人が担う仕事の資格制度を整えること」。

プッティパン氏は、労働者の安定は技術の進歩の速さだけで決まるのではないと強調。在タイ日系企業にとっても、AIの導入と人材の育成をどう両立させるかが問われる局面となる。

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