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【経済】タイ経済低成長と財政赤字で国際機関の格付け引き下げ懸念強まる

タイ経済は長期にわたり2~3%の低成長にとどまり、公的債務の増加も重なり、国際格付機関による格下げリスクが高まっている。CIMBタイ銀行のアモンテープ副頭取は「すでにムーディーズが見通しを安定的からネガティブに引き下げた。他の機関も追随する可能性がある」と述べた。

同氏は、財政赤字が続けば債務負担はさらに拡大すると警告。低所得層への的確な支援など効率的な歳出が不可欠であり、短期的なバラマキでは成長は回復しないとした。

過剰なポピュリズム政策に警鐘も

カシコン調査センターのブリン経済調査本部長も、GDP成長が低迷し債務が増加すれば債務比率は急速に膨張すると指摘した。タイは過去20年以上にわたり4~10%の財政赤字を続けており、構造的に規律が緩んでいる。加えて観光や自動車など特定産業への依存が強く、外部ショックに対し脆弱な構造となっている。

ブリン氏は、課税ベース拡大やVAT引き上げ、公共部門の人件費削減などを提言。過剰なポピュリズム政策を抑え、歳出を精査する必要があると強調した。

税制改革の必要性高まる

チュラロンコン大学経済研究センターのアティパット所長は、格付け見通し引き下げは「重要な警告」としており、税制改革を最も現実的な対応策と位置付ける。個人所得税は納税者が労働力人口の約1割にとどまり、非公式経済が広範に存在する。法人税もBOI特典によって大幅に減収している。

同氏は、課税負担の透明化や特典の費用公開、独立した財政監視機関の設置を提案。シンガポールのように、段階的に課税ベースを広げVATを引き上げる長期的な青写真が必要だと結んだ。

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