【政治】タイ国境覚書で野党は国民投票中止要求 国民の半数近くが内容理解せず
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タイ政府は、カンボジアとの国境紛争の再燃を背景に、2000年と2001年に締結された第43号および第44号の国境に関する覚え書きを破棄する是非を国民投票にかける方針を示している。しかし最大野党・人民党のナタポン党首は、政府に対し国民投票の断念を強く求めた。同党首は「国境問題は複雑かつ外交的な課題であり、国民投票に委ねるのではなく政府が責任を持って判断すべき事柄である」と訴える。
一方で、タイ国立開発行政大学院大学(NIDA)が10月1日と2日に全国の18歳以上1310人を対象に実施した世論調査によれば、対象となる覚え書きについて「内容を理解していない」と回答した国民が半数近くに上った。国境問題に対する国民の関心は高い一方で、外交文書の具体的な内容が十分に周知されていない現状が浮き彫りとなり、政府の説明責任と情報発信の不足が課題として浮上。有識者の間では「拙速な国民投票は、国境政策の方向性を誤らせる可能性がある」との懸念も広がっており、今後の政治過程に大きな注目が集まっている。
なお、選挙管理委員会が、国民投票の実施には約30億バーツの予算が必要としていることで、財政面での負担も議論を呼んでいる。
