【物流】第5タイ・ラオス友好橋が12月開通 物流短縮と観光波及で国境経済に追い風

タイ東北ブンカン県とラオス・ボリカムサイを結ぶ第5タイ・ラオス友好橋が12月に開通する見通しだ。タイのピパット運輸相は、両国首脳の公式会談に合わせて、国境輸送の時間短縮と物流コストの圧縮、国境観光の拡大に期待を込める。橋はメコン両岸の生活圏と産業動脈を直結し、タイ—ラオス—ベトナムの連結性を高める。
回廊強化と多国間連系の相乗効果
インフラ連携は友好橋に限られない。第1友好橋(ノンカイ—ビエンチャン)の補強や、近傍の新鉄道橋の設計・環境影響評価(2027年着工—2030年完成見込み)も進む。ラオス域内では10キロの鉄道ミッシングリンク解消計画が検討され、中国・ラオス・タイの高速鉄道ネットワークの一体運用も視野に入る。これらがそろえば、メコン圏の東西・南北回廊で陸送の所要時間が短縮し、定期便・多頻度輸送が現実味を帯びる。加えて、LTMS-PIP(ラオス—タイ—マレーシア—シンガポール電力統合)の第2段階が動き出せば、国境域の産業立地とグリーン電力調達に相乗効果が生まれる。
また、地域経済への波及は広い。まず、東北側の倉庫・通関・トラック運行に商機が広がる。冷蔵・医薬品輸送や越境ECのリードタイム短縮は、輸出入の在庫回転を押し上げる。観光では、ブンカーン—パークサン—ヴィエンチャンやタイ東北—ラオス—ベトナム中部の周遊ルート造成が期待される。そのため、自治体・観光事業者は、電子通関・保税、車両保険、道路課金、燃料・充電インフラなどの実務整備を急ぐべきだ。
他方、通関一貫手続きや重量・軸重制の整合、危険物・生鮮品の基準差など課題も残る。企業側は、原産地規則(ROO)の確認、TIR・保税輸送の選択肢、ベトナム側港湾との接続を含めた総物流コストで評価すべきだ。なお、開通スケジュールは外交75周年行事とも連動し、関連イベントの集客も見込める。
