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【不動産】住宅ローン否決率70%で二極化鮮明 量販失速のタイ不動産 顧客の融資審査通過支援

タイ不動産市場で住宅ローン審査落ちが急増し、低価格帯の購入層が市場から押し出されている。タイ経済メディア「クラングテープ・トゥラキット」は、テラ・メディア&コンサルティングが、価格300万バーツ未満の住宅で融資否決率が70%に達したと報道した。購買力の低下と家計債務の重さがこの背景にあり、デベロッパーは量販住宅から富裕層向けへ軸足を移しつつある。

中心業務地区(CBD)では低層物件の平均が6500万バーツ超とされ、完全に高級ニッチ市場となった。一方で郊外には実需が残り、タウンホームや戸建てでは1000万バーツ未満の需要が底堅いという。地域別では、東部(カセート・ナワミン、オンヌット)などが低層市場で年11%成長とされるが、交通・インフラ整備が追い付くかが課題だ。西部(ピンクラオ、ラマ2)は300万バーツ未満に動きがある一方で、1000万〜2000万バーツの在庫は滞留しやすい。北部(ドンムアン、ランシット)はスカイトレイン延伸が追い風となる反面、在庫圧力は強い。ノンタブリでは低層住宅(300万〜700万バーツ)が伸びる半面、10年前のコンド過剰が重荷となる。

タイ中銀(BOT)は不動産事業の停滞を受け、融資負担を軽くするためLTV規制を緩和し、2025年5月1日から2026年6月30日まで住宅契約で融資上限を物件価格の100%とすることを認める措置を打ち出した。ただ金融機関は不良債権を警戒して審査を厳格化しており、制度だけで否決率が下がるかは不透明だ。別の統計では未販売在庫が2兆バーツ規模に積み上がり、新規販売は2025〜2026年にかけ減少見通しとされる。市場は「住戸を売る」から「融資を通す」へ転換が迫られ、デベロッパーが事前審査や書類支援を強める動きも出ている。

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