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【経済】タイ電気料金、26年1~4月は3.88バーツに引き下げ 難しい調整余儀なくされる

エネルギー規制委員会(ERC)は2026年1~4月の平均電気料金を1kWh当たり3.88バーツ(付加価値税別)とし、25年9~12月の3.94バーツから0.06バーツ(6サタン)引き下げることを決めた。自動調整料金(Ft)は0.0972バーツ/kWhに設定し、従来の0.1572バーツから縮小した。タイの電気料金は燃料価格などを反映するFtを原則4カ月ごとに見直す仕組みであり、今回の下げはガス価格見通しが直接の要因となった。これは、発電燃料の約6割を天然ガス(LNG含む)が占めるためだ。

発電公社(EGAT)は当初、料金を3.94バーツに据え置けば、電気料金から61億4000万バーツを補助金負担で積み上がった残債471億バーツの返済に充てられると提案。その一方、ERCが示した4.58バーツ案を採用すれば、EGATとPTTが抱える未回収分計591億バーツを4月までに全額返済できるとの試算が出ていた。

その後、PTTがLNG輸入価格の前提を1mmBtu当たり12.5ドルから11.6ドルへ引き下げたことで、ERCはEGAT案を3.88バーツに変更。付加価値税7%を含め実質約4.15バーツとして再計算した。その結果、一般家庭が月300kWhを使用する場合、単純計算で月18バーツ程度の負担減にとどまるが、ウクライナ情勢を背景にした燃料高騰期に電気代補助を拡大し、累計1500億バーツの損失を計上したEGATにとっては難しい調整が続くことに変わりがない。結局、ERCは11月下旬の会合で、料金を段階的に引き下げつつ未回収分をどう扱うかを審議し、最終案を決めた。

配電は首都圏のMEAと地方のPEAが担い、両社は請求書でFtを上乗せして徴収する。政府は生活費対策として電気料金の抑制を掲げており、企業側も年初のコスト見通しが立てやすくなった。

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