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【商業】タイ南部洪水被害の保険支払い160億バーツ超 観光業復興へ「信頼」回復急ぐ

タイ南部を襲った記録的な洪水被害を受け、タイ損害保険協会は2025年12月23日時点の保険金支払い状況を公表した。保険金請求件数は6万2147件に達し、支払額は合計で160億2928万バーツに上っている。内訳は自動車保険が4万9360件で103億4200万バーツ、住宅・火災保険などが1万2787件で56億8700万バーツとなった。特に経済的打撃が大きかったソンクラ県ハートヤイ郡では、9000台から1万2000台の車両が浸水被害を受けたと推定されている。保険業界全体では、今回の洪水による最終的な支払い総額が270億バーツ規模に達するとの見通しもあり、2025年の業界成長率は2%から3%程度に留まる見込みだ。

一方、深刻な影響を受けているのが観光業だ。例年、年末年始はマレーシア人観光客で賑わうタイ南部だが、今期の予約数は前年比で30%近く減少した。ハートヤイ市内の商業施設やホテルは40%が営業を再開し、全体でも8割近くが復旧に向けた準備を整えているが、観光客の足戻りは鈍い。

このなか、タイ国政府観光庁は2026年に向けて観光収入2兆8000億バーツを目指す「トラステッド・タイランド」プロジェクトを始動させた。これは旅行者の安全と信頼を保証する新しい認証制度であり、被災した南部各県のインフラ復旧と併せて、市場の信頼回復を最優先課題に掲げている。南部ではパッタルン県やトラン県などが代替の目的地として注目され始めており、当局は広域での周遊観光を促進することで、損失の一部を補填したい考えだ。今後は保険当局による迅速な支払いと、官民一体となった観光キャンペーンの成否が、南部経済の再建を左右することになる。

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