【社会】タイの人口が減少 高付加価値化・高度化へのモデル転換が成長にカギに
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タイの人口減少が統計上はっきりしてきた。内務省地方行政局の中央登録事務所によれば、2025年末時点の人口は6580万9011人で、前年(6595万1210人)から約14万2199人減少した。国籍別ではタイ国籍が6482万708人、それ以外が98万8620人となっている。
人口規模だけでなく、地域の偏りも顕著になった。人口上位はバンコクが542万2568人であり、2位のナコンラチャシマ県の倍以上と突出する。企業から見れば、首都圏の労働需給は逼迫しやすい一方で、地方は購買力の伸びが鈍りやすいということになる。
人口減は家計消費の伸びを抑え、住宅や自動車など耐久財の市場規模の拡大を阻害。さらに高齢化が進めば、医療・介護の需要は増えるが、社会保険負担の増加や税収の伸び悩みが政策運営の制約になる。労働力不足を補うには、生産性向上とともに技能人材の受け入れ、女性や高齢者の就労支援、地方の産業転換が欠かせない。
人口の天井が見えた社会では、量の拡大に頼る成長モデルは通用しにくい。観光やサービスの高付加価値化、製造業の高度化、デジタル投資を通じた稼ぐ力の底上げが焦点となる。人口統計の下振れは、企業戦略と政策の両方に「早めの手当て」を迫るシグナルとなる点に留意したい。

