【経済】 ADB、タイ成長率を1.8%に下方修正 構造的生産性の低下を警告
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アジア開発銀行(ADB)は4月17日付の「アジア開発見通し2026年版」で、タイの今年の経済成長率を1.8%と予測した。前年の2.4%から大幅に鈍化し、2027年には2.0%へ緩やかに回復するシナリオを描く。
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輸出頼みの構造に潜む弱点
ADBが今回の報告書で特に強調したのは、タイ経済が抱える景気循環の問題だ。米国の関税やエネルギー価格の上昇、地政学的な不確実性といった外部ショックが直撃しているのは事実だが、より根本的な課題は生産性の伸びの鈍化と、輸出に占める国内付加価値の低さにあると指摘した。つまり、タイは依然として輸入中間財への依存度が高く、輸出額の統計上は好調に見えても、タイ国内の雇用や所得、生産性向上につながっていないという構図だ。こうした構造は、外部環境が悪化したときに経済の緩衝力を著しく弱める。
輸出頼みの構造に潜む弱点
ADBはまた、技術・知識の普及が中小規模の国内企業に届いていないことも懸念材料に挙げた。外資企業から国内企業への技術移転が十分に機能していなければ、投資や貿易が増えても経済全体の効率は上がりにくい。ADBはタイの中小企業がデジタルツールやAIを活用できれば生産性・売上高・賃金の押し上げに寄与すると分析しており、規制障壁の除去や中小企業向けのエコシステム強化を求めた。
報告書の示唆するところは明確で、1.8%という予測は単年度の数値にとどまらず、構造改革なしにはタイの成長の天井が低いままであり続けるという長期的な警告でもある。日系企業にとっては、サプライチェーン上のタイ企業の競争力変化を継続的に注視することが求められる。
