【車両】輸出向け生産が下支え タイ自動車産業に回復の兆しが一段と鮮明に
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タイ自動車産業に回復の兆しが出ている。タイ工業連盟の発表によると、2026年3月の自動車生産台数は前年同月比2.69%増の13万3413台となった。全体の66.45%にあたる8万8651台が輸出向けで、国内需要がなお力強さを欠く中でも、タイが地域の生産拠点として一定の役割を保っていることを示した。1〜3月累計の生産は36万9751台で前年同期比5.32%増、輸出向けは24万9343台で同5.78%増となり、乗用車とピックアップの輸出向け生産が伸びたことで部品調達や港湾物流にも稼働回復の波が及ぶ可能性がある。
完成車輸出は3月が8万394台で前年同月比0.64%減、輸出額は537億6338万バーツで同6.36%減となった。中東向けの落ち込みが響いたものの、豪州・アフリカ・米州向けは拡大した。国内販売は5万9865台で同7.29%増となり、バンコク国際モーターショー後の納車増が寄与した。乗用車のうちBEV(電気自動車)とHEV(ハイブリッド車)が市場を押し上げる一方、ピックアップは1万3991台で同6.36%減と依然として弱い。金融機関の与信厳格化と家計債務の重さが商用車需要を抑えており、輸出の底堅さと国内市場の二極化を同時に読む局面が続く。タイ工業連盟は政府予算と公共投資の早期執行を求めており、生産能力の利用率を70%超へ戻せるかが当面の焦点となる。
EVシフトが進む中、内燃機関部品から電動化関連部品への発注構造の変化にも注意が必要だ。3月の新規登録ではBEVが1万1569台に達し、HEVも高い比率を占めた。電池、制御装置、充電インフラ、整備人材を含む周辺産業の整備が次の競争軸となり、日系企業は既存顧客の生産計画だけでなく、中国系EVメーカーとの取引機会も見極めたい。
