タイ東部クート島の領有権問題 プームタム副首相が島を訪問し領有権を国内外にアピール
プームタム副首相兼国防相は11月9日、東部トラート県クート島がタイ領であることを国内外にアピールすべく同島を訪れた。
この島については、2001年に当時のタクシン政権下でカンボジアとの間で取り交わされた覚え書きの添付地図で南半分がカンボジア領とされており、この覚え書きに基づいてタイの現政権がタイとカンボジアが領有権を主張する海域でカンボジアと共同海洋資源開発を進めようとしていた。
しかし、これに対しタイの野党が「政府はタイの領土をカンボジアに与えようとしている」などと強く批判する事態となっている。
2001年の覚え書きに採用されたタイとカンボジアの領海の境界線は、1972年にカンボジアが表明した領海の境界線に沿ったものとなっていた。だが、翌73年にタイが発表した両国の領海の境界線は南側に大きく下がった格好となっており、クート島は完全にタイの領海内となっている。
クート島においてプームタム大臣は、「クート島は疑うべくもなく長きにわたってタイの領土であり、この島にはタイ人が住み、タイ政府の役所もある」と強調するとともに、クート島の領有権が問題となっていることについて「政治的目的で利用しようとしている者たちがいる」と指摘した。
また、2001年覚え書きを以前から批判しているタイパクディー党幹部のワロン議長も9日、クート島を訪れて、カンボジアとの話し合いを進める前に、カンボジアに国連海洋法条約(UNLOS)批准を求めるようタイ政府に強く要求した。同議長によれば、カンボジアが同条約を批准していれば、タイとの合意内容を将来的に勝手に変更することなどが難しくなるとのことだ。