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米仲介で国境紛争に転機か タイとカンボジアが協議へ

タイとカンボジア、米国の仲介により28日に協議へ

タイとカンボジアの国境紛争を巡り、両国は7月28日夜にマレーシアで会談を行うことで合意した。これは、トランプ米大統領が両国首脳に対して直接電話をかけ、「停戦が実現しなければ、米政府は関税交渉を妥結しない」と強く迫ったことが背景にあるとされる。

タイ政府のチラユ報道官によれば、協議にはタイ側からプームタム副首相兼内相(首相代行)、カンボジア側からフン・マネット首相が出席する予定である。今回の会談は、紛争の沈静化と経済関係への影響回避に向けた重要な一歩と位置づけられている。

タイ陸軍が国民に冷静な対応呼びかけ

一方、カンボジアとの国境地帯では武力衝突が激化しており、タイ領内20km地点にある商店などがカンボジア軍の砲撃を受け、多数の死傷者が出ている。報道によれば、カンボジア軍は最大射程130kmに及ぶ砲撃を行う可能性があるとされる。

これを受け、タイ陸軍は「現在のところ、カンボジアがどこを標的として砲撃を計画しているかについての証拠はない」とし、国民に冷静な対応を呼びかけている。軍関係者によれば、カンボジア軍が使用する可能性があるとみられるのはPHL-03多連装ロケットシステムであり、その射程は通常弾で約70km、改良型で約150kmとされる。カンボジア領の突端からタイの首都バンコクまでは約200kmである。

また、タイ空軍はF-16やグリペン戦闘機を用いて、カンボジア国内の軍事施設への空爆を実施しているとの報道もある。一方、カンボジアは戦闘機や軍艦を保有しておらず、両国の軍事力には大きな格差が存在することも指摘されている。

カンボジア人男性をスパイ容疑で逮捕 攻撃目標の調査か

タイ東北部スリン県では、国境地帯で避難中の民間人の様子を携帯電話で撮影していたカンボジア人の男(52歳)がスパイ容疑で逮捕された。男はオートバイに乗って移動しながら撮影を行っていた。

男は「妹に送るために撮影していた」と供述しているが、当局はカンボジア軍による砲撃目標の選定に関する情報収集の可能性があるとして、慎重に調査を進めている。提示された旅券には、6月23日にタイに入国し、8月21日まで滞在可能と記されていた。

国境紛争は経済活動や国際交渉にも深刻な影響を及ぼしており、米国の介入によって事態の沈静化が図られるか、今後の動向が注目される。

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