タクシン元首相仮釈放でタイ政局が新局面へ 「3人首相」による統治か
中核与党・タイ貢献党に隠然たる影響力を持つとされるタクシン元首相が先ごろ仮釈放されたことで、元首相の実質的政界復帰を見通す声が出ている。また、元首相の次女で同党党首のペートンターン氏の影響力が大きくなるとの見方もあり、一部では、セーター首相とタクシン元首相の「2人首相」、あるいはペートンターン党首を加えた「3人首相」の統治体制となる可能性も取り沙汰されている。
ただ、セーター首相は、「国民の多くがどのように考えようとも私がタイの首相であり、首相は1人しかいない」と強調。タクシン元首相を自宅に訪ねる現職閣僚の動向が報じられていることについては、「閣僚の中には元首相との付き合いが長い人もいるので、(面会に行くのは)気にしていない」と述べている。
セーター氏は昨年5月の総選挙に伴う首相指名選挙にタクシン派・タイ貢献党から首相指名選挙に出馬し、首相に選ばれたが、前身は不動産業に携わっていたビジネスマン。2022年に同党に入党したものの、総選挙には立候補しておらず、民間人として首相に就任している。