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【労働】サムットサコン県で無認可校を摘発 外国人労働者子弟ら900人超が在籍

バンコクの西隣に位置し、タイ湾に面するサムットサコン県クラトゥムベーン郡でこのほど、無認可の教育施設2校が関係当局によって摘発された。県庁によれば、1校目の学校では学生が約100人、教師が約10人、2校目の学校では学生約900人、教師27人が在籍していた。後者はかつてタイ人対象の私立学校として認可を受けていたが、その後に認可が取り消されていた。

県教育局と警察、入国管理局による合同調査で、これらの学校はミャンマー、カンボジア、ラオス出身の外国人労働者の子弟を対象に授業を行っていたことが判明。授業は主に現地語と英語で行われ、タイ文部省の定めるカリキュラムを遵守していなかった。運営者は「学習機会の提供が目的だった」と主張しているが、教育ライセンスを持たずに授業料を徴収していた疑いがある。

タイでは外国人労働者の子どもが増加しており、教育機会の確保が社会問題となっている。労働省によると、同県内の外国人労働者は約30万人に上り、その多くが水産加工場や縫製工場で働いている。保護者が長時間労働に従事しているため、非公式な「移民学校」や宗教施設が教育の受け皿となるケースが少なくない。

教育省は、外国人児童への教育提供を「人権の一部」と位置づけつつも、安全基準や教員資格を満たさない施設の増加に懸念を示している。2024年には全国で45校の無認可学校が摘発され、うち半数が外国人子弟を対象としていた。今回摘発された学校についても、今後の行政処分や再認可の可否が検討される見通しだ。

サムットサコン県知事は記者会見で、「教育の権利を尊重しながらも、基準を満たさない施設は取り締まりの対象となる」と述べ、適正な教育制度の枠内で支援策を検討する方針を示した。政府は外国人児童教育の公的支援を拡充し、地方自治体と協働して「安全かつ合法的な学習環境」の整備を急ぐとしている。

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