【労働】タイ労働保護法改正で産休拡充 初の有給パレンタルリーブ導入し家族支援強化体制
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イの労働保護法改正(第9号)が2025年12月8日に施行され、家族関連休暇が大幅に拡充された。今回の改正では、女性従業員の産休は妊娠ごとに従来の98日から120日に延長され、そのうち60日分は事業主が全額賃金を支払うことが義務付けられた。残りの期間は社会保険を含む公的給付の対象となる方向で調整が進んでいる。
さらに、出産した子どもに障害や重い疾病などの合併症がある場合には、母親に15日間の育児看護休暇が認められ、賃金の50%が支給される。新たに導入された「パレンタルリーブ」は、父母を問わず従業員が取得できる制度で、出産前後90日以内に15日までの休暇を全額有給で取得できる点が特徴だ。これは配偶者の出産を支える目的の休暇が民間部門に明記された初のケースであり、これまで公務員中心だった父親向け休暇を民間にも広げることになった。
また、政府機関や国営企業で業務委託契約や日雇い形態で働く労働者にも、民間企業と同様の賃金・休日・休暇に関する保護が及ぶよう法律の適用範囲が拡大された。
改正の背景には、少子高齢化や共働き世帯の増加を受け、育児と勘定の両立を支える制度づくりを急ぐ政府方針がある。政府は今回の改正により、女性の就業継続率の向上と男性の育児参加の促進、企業の人材確保力の強化につながると説明する。
日系企業にとっては、就業規則や雇用契約書、人事評価制度の見直しに加え、休暇取得に伴う人員補充や配置転換の仕組み作りが急務となる。違反した場合の罰則や労使紛争のリスクも高まるため、最新の法令解釈を確認しつつ、グループ全体で一貫した対応方針を整えることが急務となる。
