【労働】タイ賃上げ率が4.5%に減速 AI技能者優遇など企業の人材選別が鮮明に
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クリエイティブコンサルティング会社デロイトの調査によると、2025年のタイの平均賃上げ率は4.5%程度にとどまり、これまで標準とされてきた5%から鈍化する見通しとなった。10月に主要176社を対象に実施した調査では、景気回復の遅れとコスト圧力が企業の賃金・福利厚生予算を抑制していることが判明。業種別ではエネルギーが5%と上昇率が高い一方、小売とテクノロジーは4%となっている。デロイトは企業が「景気のもたつき」と「AI主導のデジタル変革」という二重課題に直面しているとし、報酬体系が職務ベースからスキルベースへ移行しつつあると指摘。AI・テクノロジー系スキルが人材戦略の中核となり、賃金構造を左右し始めているようだ。
ボーナスは概ね月給2カ月分で横ばい。化学、エネルギー、石油・ガスは3カ月分程度と厚い一方で、小売とテクノロジーは1.5カ月分と薄い。自発的退職率は平均12.9%で、小売が32.9%と突出する一方、エネルギー・石油ガスは3.9%、自動車は4.9%と低い。また、57%の企業が報酬予算を削減(または削減予定)。ただ、55%以上が「影響の大きい職種」には市場以上の賃金を払い、一般職は市場以下に抑えるなど、選別投資が鮮明化している。なお、離職防止策では、キャリア開発を重視する企業が61%に達し、ハイポテンシャル人材には昇進加速でつなぎ留める動きが強い。
