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東京都中⼩企業振興公社 タイの⾒本市で存在感 東京都企業の事業展開⽀援

タイで開催される国際見本市・展示会で東京都中小企業振興公社の存在感が増している。2023年8月30日~ 9日1日開催の「アセアン・サステイナブル・エナジーウィーク2023」、9月1日~ 3日開催の「バンコク日本博2023」、9月13日~15日開催の「メディカルフェアタイランド」と相次ぎ大型ブースを設置。東京都企業のタイ事業展開を後押しした。

目次

アセアン・サステイナブル・エナジーウィーク2023

8月30日から9月1日までバンコク都内シリキット王妃国際会議場で開催されたASEAN最大級のエネルギー・環境技術関連国際展示会「アセアン・サステイナブル・エナジーウィーク2023」で、東京都中小企業振興公社は初参加3 社を含む6 社の出展を支援した。このうち4 社はすでにタイに販売代理店を置いており、エンドユーザーへの商品PR を主目的とする参加だった。東京都中小企業振興公社ではこれまで海外展開の支援対象として環境ビジネス枠を特に明示していなかったが、事業戦略部販路・海外展開支援課で海外販路ナビゲーターとしてハンズオン支援を行っている谷口英一氏によれば、最近は海外展開を検討する環境関連企業が増えつつあるという。

水の分子構造を変えガラスコーティング剤生成 ~ システムブレイン社

水を分子構造から変えてガラスコーティング剤に生成させる技術で国際特許を取得しているシステムブレイン社(東京都新宿区)は、太陽光パネルの洗浄コーティングにより発電効果の改善ができる点を前面に出し、自社製品をPRした。同社開発のガラスコーティング剤は対象物に塗布することで20~ 60ナノメートルの薄いガラスシールド膜を形成。自動車の場合、新車時の自然で瑞々しい輝きを取り戻すことができ、その後も月1~ 2回の水洗いだけでその状態が長期間持続する。従来のコーティング剤にはさまざまな化学物質が含まれているが、同社は水と無機質の自然鉱物のみ使用。そのため、施工後はそのまま排水することができる。

日本で太陽光パネルの普及率が高まるなか、鉄粉・黄砂・PM2.5などが原因となり表面の汚れているパネルが増えているが、水洗いだけでは落ちない汚れが多く、そのままにしておくケースも少なくない。システムブレイン社の神田智一社長によれば、太陽光パネルメーカーのなかには、洗剤・コーティング剤を使用した洗浄を行うと補償を取り消す場合もあるが、同社の製品は水から生成されているため水洗いと同じであり、そのため多くの場合、補償は継続され、しかも汚れはすっきり落ち、その後も付きにくくなるという。

一方、同社が太陽光パネルのほかにタイでの伸びしろを感じているのはビルメンテナンスだ。システムブレイン社は今回の見本市参加に先立ち、バンコク観光名所であるワットポーのカビが発生している石像などに対し、同社の洗浄剤とガラスコーティング剤を併用した環境に優しい洗浄を行った洗浄剤とガラスコーティング剤を併用した環境に優しい洗浄を行った。洗浄に立ち会った僧侶は「タイではこれまでカビの生えている汚れは落とせなかった」と強い関心を示したという。すでに日本では商業施設およびショッピングモールのビル外装の洗浄コーティングを実施。また、タイルのリフォームとして洗浄を行った場合、例えば20 年経過しているタイルが新品のようになるという。「スクラップ&ビルトではなく、古いモノを可能な限り活かすことも環境保全につながる」と力を込める神田社長だ。

タイ最大級の日本総合展示会「バンコク日本博」

2023年9月1日から3日までバンコクの高級商業モール、サイアムパラゴンで開催されたタイ最大級の日本総合展示会「バンコク日本博」に東京都中小企業振興公社は初めてブースを設置。7社の出展を支援した。このうち4社が物販目的だった。事業戦略部販路・海外展開支援課の堀切川祐子課長は、東京都企業のタイ事業展開では化粧品などライフスタイル商品が増えているが、これら商品の販路開拓に最適な展示会・見本市がタイにはあまりないと指摘する。見本市は基本的にB2Bが中心であり、物販などB2Cをコンセプトとし、さらに日本に関心のあるタイ人の間で商品認知度を高めることのできるイベントとなるとかなり限定されるため、今回、日本ファンが多数来場した実績のある日本博への参加を決めたという。東京都中小企業振興公社が物販を主な目的として大型展示会に参加するのは今回が初めてとなる。堀切川課長によれば、来年も出展予定とのこと。「出展した企業にはここでテストマーケッティングを行い、タイの市場を知ってほしい」と話す。

インド産ハーブ「ヘナ」を使った美容商品 ~ ジャパンヘナ社

インド産ハーブであるヘナ(HENNA)含有の美容商品開発・販売を行うジャパンヘナ社(東京都渋谷区)は、高品質ヘナを使った毛髪染料であるヘナパウダーを紹介した。

ジャパンヘナ社代表取締役兼日本ヘナ協会理事長の海老名秋子氏によれば、同社のヘナパウダーには❶染髪❷頭髪ケア❸頭皮ケア―の3つの効用がある。そもそも過度の染髪は毛根の細胞に染料の成分が残留し、これが悪さをするため髪質が悪化。時としてアレルギーを引き起こす。その場合、カラーリングが長期間できなくなってしまう。男性の場合は薄毛になり、さらに継続すると頭髪が抜けるとの報告もある。

ヘナは5000年以上前からヒンドゥー教徒の女性の間でボディ・ペイント剤として使われていたほか、毛髪の染色やトリートメントとしての用途もあったとされる。同社のヘナパウダーは36年前、海老名代表取締役が独自開発。日本では当初、アレルギーを持つ人に対する染髪が主な用途だった。マナを原材料とした類似商品あるがカラーリングは3~5色程度。これに対し、同社のカラーリングは15色に及ぶ(タイ市場にはまず6色を投入)。日本の美容院では根本と毛先で別の色にしたり、複数の液を混入して使ったりすることを売りにしているケースがあるためだ。同社は渋谷区恵比寿で美容室、東京ドーム内でスパを運営。それぞれ月間約500人、800人の来客がある。現在、マナパウダーを販売しているのは日本とタイだけであるが、海老名氏は、ASEAN諸国での市場拡大も視野に入れる。

なお、同社には横浜市立大学生命ナノシステム科学研究科長寿科学研究室の三木健輔客員准教授が学術顧問として在籍。長寿科学研究室は、インド・スリランカで生まれた5000年以上の歴史を持つ世界最古の伝統医学であるアーユルヴェーダで使用されるハーブ成分を科学的なエビデンスをもとに調査・研究する日本で唯一の研究機関。同研究室では、ヘナに関するエビデンスや現代人に提案できる成分・製品の研究開発に長年取り組んでおり、その成果はジャパンヘナ社の商品開発にも生かされている。

薄毛改善・発毛促進効果が期待されるシャンプー ~ イチバンライフ社

イチバンライフ社(東京⽀社︓東京都北区)横浜市立大学の「細胞の若返り」研究を基盤とする化粧品・健康長寿製品の研究・開発・販売を進めているイチバンライフ社(東京支社:東京都北区)は、薄毛改善・発毛促進効果があるとする自社開発のシャンプーとトリートメントを紹介した。単独出展は初めてとなる。

ジャパンヘナ社顧問の三木准教授(前出)が事業統括部長を務めるイチバンライフ社は2006年、研究成果移転型大学発バイオベンチャー企業として設立された。設立当初は研究が中心であり、08年にバングラデシュでアーユルヴェーダ医薬品製造販売資格を取得。10年から発毛剤開発を始めた。そして2015年、商品化に着手。発毛効果商品は7年前から、抜け毛防止効果商品は1 年前から販売している。

横浜市立大学生命ナノシステム科学研究科長寿科学研究室の客員研究員で、イチバンライフ社では研究開発部課長を務める高氏裕貴氏(理学博士)は今回出品したシャンプーには頭皮・毛髪細胞を破壊する成分が含有されていないため、洗髪時に泡立つことはないが、油分はしっかり落とすことができると説明する。シャンプー(300㍉㍑)2200バーツ、ヘアトニック(125㍉㍑)5800バーツと、タイではかなりの高額商品となるが、会場では60代のタイ人男性が3本購入。潜在的需要は高いようであり、今後の市場戦略が注目される。

メディカル・ヘルスケア関連展示会「メディカルフェアタイランド」

2023年9月13日から15日までバンコク国際貿易展示場(BITEC)で開催されたアジア最大級のメディカル・ヘルスケア関連展示会「メディカルフェアタイランド」で、東京都中小企業振興公社は10社の出展を支援した。同公社は2018 年からメディカルフェアタイランドにブースを設置しており、今回は2社が初出展となった。

医療機関向けエイジング対策サプリ ~ ニュートリション・アクト

機能性食品・化粧品OEM、原材料開発販売などを主要事業とするニュートリション・アクト(東京都中央区)は今回が海外初出展。長年の原料販売・商品開発で培った知識技術を結集して医療機関向けに開発したエイジング対策サプリメントを出品した。

企画開発部副本部長の高橋忠男氏は、老化防止や様々な疾病の根治予防については、細胞レベルでのメカニズム・エビデンスが確認されていることが必要と強調。一般消費者向けには美白・黒しわ・ダイエットに効果ありとPRすることになるが、医療関係者に対してはそのメカニズムをしっかり説明することが必至とする。日本では2016年からこれまでに約900の医療施設で採用されている。

同社は日本国内で医療機関のみを顧客としているため、海外でもこのビジネスモデルが成立するかどうか試すために出展したが、タイにも市場があることを確信した、と高橋本部長は力を込める。今回の見本市ではタイのほか、ベトナム、シンガポール、マレーシアなどの企業が代理店契約に関心を示したことから、今後はリモート商談で話を進めていくという。

身体に装着する分娩監視装置 ~ トーイツ

産婦人科用医療機器の開発・製造・販売大手であるトーイツ(東京都渋谷区)も日本からの出展は今回が初めてとなる。同社は出産時に身体に装着する分娩監視装置の新モデルを海外で初めて紹介した。この装置はセンサーを妊婦の腹部に貼り付け、胎動・心拍・陣痛の重さをモニターで監視するというもので、帝王切開の目安にもなる。

会社設立は1958年。同社の分娩監視装置は日本で半数以上の産婦人科が導入しており、医療機関からのフィードバックを受け改良を続けている。タイでは30 年前に販売を開始。複数の病院が採用している。

第一営業部海外グループの真野未央グループリーダーは、「タイで知名度が非常に上がっていることに驚いた」と話す。同社は1国1代理店を原則としている。ブースにはインド、フィリピン、マレーシアからの来訪者も多く、現在代理店を置いていない国・地域への進出を検討していくとのことだ。

なお、分娩中にずっと監視が必要となるなどリスクの高い出産の場合、体重2000 ㌘未満の低出生体重児となり、黄疸がでる場合もある。この症状を治療する黄疸治療器も今回、合わせて出品。日本では普及しているが、海外の医療機関ではあまり導入されていないとのことだ。

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